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ミステリの祭典

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恐怖の誕生パーティー

作家 ウィリアム・カッツ
出版日1985年08月
平均点7.50点
書評数4人

No.4 7点 メルカトル
(2021/12/13 23:01登録)
前半、サマンサが夫のマーティが何者かを探る段階を踏みすぎていて、やや長すぎるきらいがあるのと、それと並行して語られる警察が毎年12月5日に鳶色の髪の女を殺すシリアルキラーの捜査の描写が淡白でアンバランスな気がしました。それ以外は申し分のないサスペンスフルな傑作だと思います。特にサマンサの心理描写はよく書けており、一人で夫の正体を見極めようと奮闘する姿は痛々しい程でした。

そしてやはりエピローグが良いです。ネタバレになりそうなので詳しくは書けませんが、私は開いた口が塞がらない状態でしたね。勿論、そこに至るまでの徐々に盛り上げていく文章力と構成の上手さも読みどころではあると思います。
その後どうなったか知りませんが、あの傑作『ジョーズ』の二人の名プロデューサー、ザナックとブラウンが映画化権を買ったとの事なので、作品の出来は推して知るべしでしょう。

No.3 8点 ことは
(2020/10/18 00:52登録)
昔々に、なにかで好評を読んで、買っておいたものを、ふと読んだので、予備知識ゼロでした。
予備知識が無く、読めてよかった。傑作。
序盤の不穏な情報から、少しずつサスペンスが高まり、終盤クライマックスへ。エピローグも漫然とすることなく、サスペンスの傑作。
ま、ネットの感想で「B級……」と言われてしまう雰囲気もわかるので、それが「幻の女」級の名作にはなれなかった原因かな。
終盤、ある人物がある物を修正するのだが、そこを読んだときは「それはちょっとなぁ」と思ったが、理由が明かされたときは「なるほど!」と感心した。似たような趣向は既読だが、心理的理由との絡め方はオリジナル。これはいい。
これこそ予備知識が入ってしまうと、興味が半減してしまいそうなので、今から読む人は、是非ネットの情報を取得すること無く読んで欲しい。

No.2 8点 蟷螂の斧
(2016/12/23 14:19登録)
事前情報(読むきっかけ)はクリスティ氏のある短篇がモチーフであるらしいとのことだけでした。何も知らず読んだ結果、それが大正解!!。読後はコーネル・ウールリッチ氏の作品(1948)を思い起こしました。本サイトでは本作の書評1件のみでしたが、読書Mではまあまあの数の書評が載っています。結構ネタバレ気味の内容が多いので先に読まなく良かった(ホッ)。著者の作品の翻訳は3~4冊程度みたいです。高評価の理由は、心理サスペンスもので登場人物が少なく読みやすいことと、ラストがドンピシャと壺にハマったということです。

No.1 7点 こう
(2008/09/06 00:43登録)
 サイコサスペンスの良作でした。夫の誕生パーティのため夫の友人を呼ぼうと夫の過去を探るも学校、会社、軍に夫の記録がないことに愕然とする主婦サマンサがヒロインで並行して毎年同じ日に鳶色の髪の女性が殺される事件が語られます。
 確かクリスティの短編で同じように過去がわからない夫を扱ったサスペンスがあったはずでそれを元ネタにしているのではないかと思います。そちらは結構クリアカットにまとめられていた記憶がありますがこちらはウィリアム・カッツだけにこってりと描かれているのが特徴です。
 サイコサスペンス、シリアルキラーものではありますが最後の一ひねりが気にいっています。ただしクリステイの前例がある点と展開が非常に予想しやすい点が難点でしょうか。

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