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ミステリの祭典

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ペガサスと一角獣薬局
南美希風シリーズ

作家 柄刀一
出版日2008年08月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 nukkam
(2023/08/13 15:13登録)
(ネタバレなしです) 作者名を伏せたらファンタジー小説かと思われそうなタイトルの本書は2008年発表の南美希風シリーズ第2短編集です。美希風が「世界の伝説と奇観」をテーマにした写真を撮影するために世界を旅行して不思議な事件に遭遇するという設定です。謎の不可思議性と謎解きの合理性のバランスがよくとれていると思うのが「光る棺の中の白骨」(2005年)で、五年前に鉄扉を溶接された密室で発見された白骨死体の謎を巡って次々に推理が披露されては否定されていく謎解き議論がたまりません。光文社文庫版で100ページを超す中編の「ペガサスと一角獣薬局」(2006年)も胸に蹄の傷跡、背中に角のようなものによる刺し傷のある死体(犯人はユニコーン?)に白い羽根を握りしめて空中から墜落した死体(犯人はペガサス?)となかなか力の入った力作です。強引さや偶然が気になるところもあるけれど謎解きのロマンを感じさせる本格派推理小説を楽しめました。

No.2 5点 mozart
(2012/11/11 08:38登録)
あり得ないようなシチュエーションで発生した「事件」を探偵役(の南美希風)が「論理的・合理的」に説明するというパターンは、いわば本格ミステリーの「王道」なのでしょうが、短編集のせいか、それぞれの事件の「謎度」が若干パワー不足の上、ややムリヤリ感があるのはちょっとマイナスかな。

No.1 6点 kanamori
(2010/08/26 18:02登録)
南美希風シリーズの本格ミステリ連作短編集。
いずれも、幻想的で奇想天外な謎を冒頭に提示し、最後はロジカルに解明するというパターンで、とくに力技系の「龍の淵」など島荘の作品と言われても違和感がないほどテイストがそっくりです。
収録作のなかでは、「光る棺の中の白骨」が物語の雰囲気創りと強固な不可能性で一番出来がいいと思った。

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