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ミステリの祭典

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苦い林檎酒

作家 ピーター・ラヴゼイ
出版日1987年09月
平均点7.33点
書評数3人

No.3 7点 あびびび
(2011/11/15 23:29登録)
あとから考えてみると当たり前の犯人だったが、作者が意図的に角度を変えたため、いろいろな謎が残った。しかし、それがミステリであり、作家の手腕になる。

そうは言っても、あくまでもこれは読後感であり、最初からその流れを把握できるはずもない。ミステリの読者は作家にコントロールされ、我々赤ん坊をいかに寝かせつけることができるか…。

そういう意味では、これはすんなり寝つかれない。でもハラハラドキドキのシーンもあり、「読んで良かった」気にはさせられる。

No.2 7点 kanamori
(2010/06/20 17:15登録)
ラヴゼイのこれまでの作家活動を見てみると、ほぼ10年単位で作風とキャラ設定が変遷しているのが分かり興味深い。
70年代はクリップ巡査部長のヴィクトリア朝歴史ミステリ、90年代以降はダイヤモンド警視の現代ものミステリ。
で、その間の80年代がノンシリーズの歴史ものを多く書いていて、この時期の作品に本書を含むサスペンスの傑作が多いと思います。
本書はクックの記憶シリーズを思わせるプロットで、主人公の一人称形式で戦時中の少年時代に関わった殺人事件の真相を、回想し紐解いていくというもの。
地味ですが読み心地の良い、上質のサスペンス小説だと思います。

No.1 8点 こう
(2008/08/11 00:13登録)
 日本ではおそらく「偽のデュー警部」が最も有名な作家ですが個人的にはこの作品が最も気にいっています。
 主人公は戦争中の小児期に疎開先で殺人事件に遭遇する。裁判で不利な証言をしたことが誘因となり米軍兵士が死刑になる。19年後主人公の前へ死刑になった米軍兵士の娘が現れ、父親の無実を証明するための協力を仰ぎ、そこからストーリーが展開してゆきます。
 最終的に主人公の証言の誤りもわかってくるわけですがどうして誤ったのか、実際の真相は、という所は読みごたえがあります。
 真犯人が判明、19年後の結末もありますが、そこの部分が必要ないと感じる程でした。
 「猟犬クラブ」など日本の新本格か?と思わせる作品ですし、現代では稀で貴重なイギリス本格作家だと思います。近作は読んでいませんが「偽のデュー警部」の頃の作品群はいずれも面白かったです。 

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