洞窟の骨 スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーシリーズ |
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作家 | アーロン・エルキンズ |
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出版日 | 2000年12月 |
平均点 | 5.67点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | nukkam | |
(2020/05/27 20:53登録) (ネタバレなしです) 2000年発表のギデオン・オリヴァーシリーズ第9作の本格派推理小説です。舞台がフランスということで「古い骨」(1987年)を連想する読者もいるでしょうが、容疑者に学者を揃えたプロットはむしろ「遺骨」(1991年)の方に親和性があるかも。ギデオンのお約束の骨鑑定が第9章で思わぬ形で実行不可能になり、その後に続く容疑者たちとの事情聴取が文字通り「骨抜き」の生ぬるい捜査になるのが珍しい展開です。面白いかと問われるとあまり面白くないんですが(笑)。24章のギデオンの「論理的な流れに沿って説明」も切れ味鈍く、26章で後出し証拠が出てしまうのでは謎解き挑戦好きの読者はため息しか出ないのでは。これなら24章でのトリック(前例はありますが珍しいし、手掛かりが印象的です)解明をもっと前面に押し出した方がよかったように思います。 |
No.2 | 5点 | E-BANKER | |
(2018/11/13 21:27登録) もはや定番である「スケルトン探偵シリーズ」。 本作は2000年発表のシリーズ第九作目に当たる。 今回もギデオン・オリヴァーとジュリー夫妻の行く先に事件が・・・という展開(定番だ!) ~旧石器時代の遺跡の洞窟から人骨が発見された。調査に協力したギデオンの鑑定により、事態は急転した。人骨は旧石器時代のものではなく、死後数年しかたっていなかったのだ。ギデオンは以前に先史文化研究所で捏造事件が起きたとき、行方不明者が出た事実をつかむが・・・複雑に絡み合う人類学上の謎と殺人の真相にスケルトン探偵が挑む~ 今回の舞台は南仏。 アメリカ版トラベルミステリー的な側面もある本シリーズだけに、今回も風光明媚(?)な南仏の観光案内も兼ねている。(ついでにうまそうな料理も・・・) そして事件の背景に見え隠れするのが、「ネアンデルタール人」についての論争。 ネアンデルタール人かぁー・・・久しぶりに聞いたな 因みにウィキペディアによると、現在の学説ではネアンデルタール人はホモサピエンスとは別系統とみなされているとのこと。 それはさておき、今回はあまり「骨」が登場しない。 通常なら、終盤すぎの一番佳境に入るころ、ギデオンが骨の鑑定から新事実を発見⇒真犯人解明! となるのだが、今回は骨ではなく「解剖」なのが若干目新しいところ。 プロットとしては実に隙がない。怪しげな真犯人候補たち、いかにもなダミー犯人役、連続殺人事件etc こういう複雑なプロットを実にうまい具合に処理してくれるのが作者の手腕。 でも隙がないのが欠点だな。 悪く言えば予定調和だし、いかにもな真犯人ということ。 まぁそれもシリーズものの宿命というやつで、シリーズファンにとってはこういうことが「よっ! 待ってました!」という感想につながるのかもしれない。 私個人としては・・・微妙。でも安心して楽しめるよ。 |
No.1 | 7点 | Tetchy | |
(2008/07/20 19:57登録) 今度の舞台はフランス。 洞窟から現れた旧石器時代の骨が、ギデオンの鑑定により死後数年しか経っていないことが判明する、と、もう骨から解る新事実が関係者の人間関係にきな臭いムードをもたらす、定番の設定だ。 しかし、それでも飽きないこのシリーズ。 登場人物のキャラクターとエルキンズのウィットとユーモアに富んだ文章にのめり込んでしまうからだ。 でも続けて読むとさすがに飽きるとは思う。 本作もミステリとしては佳作の部類に入るし、可もなく不可もなくといった水準作だ(これはこれですごいことなんだが)。 私は幸いにリアルタイムで読んでいるので、インターバルが空いて、ちょうど読みたいなぁという頃に刊行されるから、逆に渇きが癒されてちょうどいいのである。 |