骨の城 スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーシリーズ |
---|
作家 | アーロン・エルキンズ |
---|---|
出版日 | 2008年03月 |
平均点 | 6.00点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 6点 | nukkam | |
(2014/08/27 18:57登録) (ネタバレなしです) 2006年発表のギデオン・オリヴァー教授シリーズ第13作の舞台は「断崖の骨」(1985年)以来の英国。作中でギデオンがそのことを回想している場面もあります。骨が謎解きの鍵になるのは毎度のことですが本書は骨の分析、骨の捜索、また骨の分析と骨エピソードがいつにも増して多いのが特色です。そのため専門用語も多いのですが、個性的な人物たちとの軽妙な会話を巧みに混ぜて物語の流れはスムースです。作者が70歳過ぎての作品ですがその筆力は若さを失っていません。オリヴァー夫妻も相変わらずアツアツです(笑)。 |
No.2 | 5点 | E-BANKER | |
(2013/08/31 22:46登録) 2008年発表。スケルトン探偵シリーズの13作目が本作。 今回、舞台として選ばれたのはイギリス南部の小島セント・メアリーズ島。原題は“Unnatural Selection”だが、邦題は事件の舞台となったある「古城」から取られている。 ~環境会議の会場となった古城近くで発見された人骨。調査に乗り出した人類学者ギデオン・オリヴァーは、骨の特徴があぐらをかく職種の人間のもので何者かに殺されたのだと推定する。やがて、数年前同じ場所で開かれた環境会議で参加者たちが諍いをしていた事実と、会期終了後参加者のひとりが熊に食われて死んでいたことが明らかに。さらに今回の参加者が城から転落死を遂げ・・・。一片の骨から不吉な事件の解明に挑むスケルトン探偵!~ とにかく「骨」、「骨」、「骨」・・・だ。 (当たり前といえばそうなのだが) 終盤に差し掛かるまでは、小島の海岸で発見された骨をめぐって、ギデオンが鑑定を進める様子がひたすら描かれる。 もしかして、最後まで殺人事件や不可思議な事件は起きないのか?という危惧を抱き始めたところで、会議の参加者のひとりが不審な転落死を遂げるという事件らしい事件が発生して、やっとミステリーっぽくなってくる。 ・・・という展開で、全体的になにか「ぬるい」感覚が拭えなかった。 骨の鑑定については毎度のことながら薀蓄満載で、読みながら思わず「へぇー」と唸らされるのだが、本筋の方は特段目につくところはなし。 真犯人についても、何となく取ってつけたようで、ミステリー的に一番怪しい人物がやっぱり犯人だったというオチ。 動機も正直かなり弱いのではないかと思う。 ってことで、シリーズ他作品と比べてもそれほど高い評価はできないなぁ。 ただ、現地の捜査官として登場するクラッパー部長刑事(元警部)とロブ刑事の造形と師弟愛は心に残った。 (特殊能力犬の活躍も見事!) |
No.1 | 7点 | Tetchy | |
(2008/07/29 20:39登録) スケルトン探偵ギデオン・オリヴァーシリーズ13作目。ここまで来るとよくもまあ骨でネタが続くものだと感心する。 今回の舞台は『断崖の骨』でも舞台になったイギリスで初めてシリーズで舞台が重複してしまった。 今回は妻のジュリーがある富豪が開催する研究発表会に同行したギデオンがそこの博物館々長に浜辺から出てきた骨の鑑定を依頼されると、その骨が実は数年前以内にバラバラにされた死体のものだということが解って・・・というもの。 シリーズもこれくらいになると、もはやギデオンがスケルトン探偵だということはつとに有名になってしまっており、登場人物が骨を持ち出して鑑定を依頼するというパターンになっている。 つまりギデオン行くところ白骨あり、ではなく、ギデオン来たりて白骨差し出すといったところか。 今回は地元刑事のマイク・クラッパーの造形が秀逸。ホント、この作家の描くキャラクターは印象的なものばかりだ。 13作目にして新たに死体に関する知識も得られ、また骨が事件に密接に絡んでいるのもいい。 そしてなにより今回は犯人を言い当てる事が出来たのがなお良かった。 |