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ミステリの祭典

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不気味で素朴な囲われた世界
世界シリーズ

作家 西尾維新
出版日2007年10月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 メルカトル
(2018/06/01 22:26登録)
これは好き嫌いがはっきり分かれるタイプですね。私は好きですが、道理が通らない小説に嫌悪感を抱く読者は許容範囲を超えるかもしれません。その原因は、UFO研究会の奇人三人衆の奇矯な言動や、何より主人公串中弔士の変態的な、或いは○○○○のような思考回路に大いに違和感を覚えるためと思われます。一方、ラノベファンにとっても微妙でしょう。許せるか許せないかは、各キャラの濃すぎる個性をどう捉えるのかに掛かっている気がします。

私が最も気になったのは、余計なお世話かも知れませんが、弔士の病院坂迷路の表情を読み取るだけで微細な部分にいたるまで何を言わんとしているかを理解してしまう能力ですよ。まあ、この世界観を前にしては、確かにそれは無粋になるわけで、そういう堅いことは言いっこなしとなってしまう可能性も大いにありますがね。
畢竟タイトルからも分かるようにこのシリーズには独自の「世界」が存在しているので、それを前提に読み進めないとお話にならないのだと思います。

全体の流れは、最初延々と奇人変人たちの競演が続き、このまま終わってしまったら嫌だなと思っているところにようやく殺人事件が起こります。さらには連続殺人事件へと発展し、唐突にエンディングへと突入します。
中学生が起こした殺人事件だけに、意外と単純なトリックは病院坂迷路と弔士の捜査であっさりと解明され、なんだかなあとか白けていたりすると必ずうっちゃられますよ。意外すぎる真相と動機、お見事です。

No.2 4点 蟷螂の斧
(2013/12/29 19:46登録)
この題名の世界は、ちょっとついていけない世界でした(苦笑)。「クビキリサイクル」が良かったので、引き続き読んでみたのですが・・・。アンチミステリー的な雰囲気か?。

No.1 10点 虫暮部
(2011/11/02 10:30登録)
 ミステリ的小ネタをキャラクターで拡張した感じ、と書くと批判のように見えるが、同時にそのまま褒め言葉でもある。こういうニコニコした殺伐さはもしかすると近年よくある世界観なのかもしれないが、これだけ鋭いのはやはり見事。
 TAGROのイラストのせいで『変ゼミ』とイメージがかぶってしまうので困った。
 ところでシリーズを続けて読み返して初めて気付いたが、前作中で登場人物が解説していた後期クイーン問題を実践したのが本書なのである。2冊の刊行時期には4年の間がある。気の長い伏線である。

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