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ミステリの祭典

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殺人四重奏
トゥッサン警部

作家 ミシェル・ルブラン
出版日1961年04月
平均点5.40点
書評数5人

No.5 6点 人並由真
(2020/10/12 16:55登録)
(ネタバレなし)
 大人気の銀幕スターで、最近は映画製作にも乗り出した32歳の女優シルヴィー・サルマンがその夜、何者かに殺される。芝居の才能はあるものの、二十歳前後の頃から陰に日向に手段を選ばず今の栄光の座を掴んだ彼女には敵も多かった。そして事件の直後、担当刑事のトゥッサン警部のもとに、被害者の元夫である老監督ウィリイ・ブロキンが、自分が犯人だと名乗り出た。だが彼の語る殺害方法は、実際の死因とまるで異なるものだった。さらに警部の前に、同様の第二の自供者が……。

 1956年のフランス作品。
 仕事の関係でほぼ徹夜で待機のような状況だったので、何か一冊短めのを読もうと手に取ったのが、これ。本文が文庫220ページで、会話も多いフランスミステリだからちょうど良い。
 しかし気がついたら、ミッシェル(ミシェル)・ルブランって、初めて読んだのかもしれない?

 設定はなかなか訴求力があり、これで実は、互いに相手を犯人だと誤認した近親者同士が庇いあっていたとかいうのならダメダメだが、さすがにそんなことはなかった。
 ただまあ一方で、最後まで読んでこちらの期待に応えたかというと……う~ん(汗)。

 面白かったのは、映画業界の裏側の、清濁併せ呑んだ(当然、後者の方が比重が多いが)人間模様で、たぶん21世紀の今にもいろいろ通じる普遍的な話題を秘めた、風俗小説になっている。
 俳優名のクレジット順序の不文律とか、人気スターが落ちぶれていく顛末とか、とにかく下世話ながらも実に興味深い。
 
 前述のようにミステリとしての歯ごたえは、こちらの求めるものは提供してくれなかったんだけれど、それでも終盤には作者なりにツイストを仕掛けていて、その辺はちょっと評価してもよい。
 しかしこの作品での、トゥッサン警部の役回りって……。

 創元文庫の巻末の厚木淳の解説を読んで、作者がジャンルを問わない量産作家であること(その上で、そこそこ面白いものがある)を初めて意識した。フランスの草野唯雄みたいな感じであろうか。
 またそのうち、この作者の作品は読みます。

No.4 6点 蟷螂の斧
(2017/03/29 11:46登録)
皮肉なラストは、フランス・ミステリーらしいと言えるのではないでしょうか。なにしろ、フランス推理小説大賞受賞作ですから(笑)。前半に告白があります。題名から、そのパターンがずっと続くのかと危惧しましたが、後半ではひねりが加えられており一安心。200ページ余りの作品で、「最後の一行」的な作品でもあります。気楽に読めるフランス・ミステリーといったところ。

No.3 5点 斎藤警部
(2015/07/24 18:55登録)
(ネタバレの一種でしょうか)

構成は面白いけど、その割に仰天するような筋運びや結末は無い。とは言え。。この軽さも悪くない。
悪いふうに映画界焼けしたバカな人たちばっかり出て来る(それも年長になるほどどんどんバカになる)なあ、嗚呼嘆かわしや、、と思って読んでたら中でもいちばん救いのありそうな若者が最後のオチで、まさかの。。
ま洒落てるっちゃ洒落てるね。 目論んだ完全犯罪は如何にして挫かれたか、というお話でしたがそれだけでもなく。。
そうそう、叙述トリックの人にとっては貴重なヒントがそこかしこに隠れている小説かも知れないね。この作品じゃそういうのは使ってないけど、「ここで、ナニをそうしないで、こっちの方でこうしちゃったら、あら立派な叙述トリックになるでないの!?」みたいにインスパイアされる人もいるんじゃないかしら、って思ったんだ。何しろ構成が構成だから。

No.2 4点 mini
(2009/06/19 10:01登録)
発売中の早川ミステリ・マガジン7月号の特集はフランス・クラシーク・ミステール
クラシークではなくて戦後作家なのは御免ね
ミシェル・ルブランはフランス版江戸川乱歩みたいな奴で、作品数も多いが、それよりも評論・研究家としての存在の方が大きいかも
要するに作家として重鎮と言うよりも、御意見番として作家組合のリーダー格幹事まとめ役的な人物と言えば分り易いと思う
少年時代からのファンがそのまま大人になったような感じか
唯一読んだ「殺人四重奏」は一種の技巧ミステリーであるが、しかし技巧ものとしてみると何となく物足りないと大抵の人は思うんじゃないかな
何て言うかな、このプロットだったらもう一捻り、いや二捻り位できそうなのに、随分と大人しく纏まっちゃったなって感じ
未読だが一応本は確保してある「パリは眠らない」にしても、粗筋見るとプロットは面白そうだから、プロットのアイデアは容易に思い付く人なんだろう
ただ技巧に走るには何かもう一歩突っ込んだセンスが足りない作家ではないだろうか

No.1 6点 こう
(2008/05/28 22:22登録)
 いかにもなフランスミステリ。人気絶頂の映画女優が途中で死体で発見され、犯人は誰か、という単純な話でメインキャストは他に4人しかいません。自分が殺したと皆が自白する展開からどんでん返しが起こり、更に最後に皮肉な結末が用意されています。
 ただトリックは科学捜査が進んだ現代では通用しないものなのでやはり時代を割り引く必要はあります(1956年作)。
 短いですし一気に読めます。ただ衝撃に乏しい感じがありまあまあ楽しめたかなという感じです。

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