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ミステリの祭典

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ナナフシの恋
Mimetic Girl

作家 黒田研二
出版日2007年12月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 名探偵ジャパン
(2019/01/04 15:08登録)
黒田研二の魅力は、いい意味で虚構然としたトリックと内容にあるのですが、今回ばかりはそれが悪い方向に作用してしまった感じです。
特にメインの殺害トリック(?)なんて、文章だからさらっと読み流してしまいがちですが、その場面(○○を持ち上げて……からの一連の流れ)を想像したら、もうこれは言い逃れ不可避なバカミスです。もし実写化したら爆笑間違いなしです。その持ち上げた(持ち上げられた)理由も、ほとんどSFかオカルトの領域。

ストーリーも最後、無理矢理いい話的にまとめようとしていましたが、あの荒くれ生徒を好意的に捉えることは普通の読者には不可能です(「自分から飛び降りたから、俺的には無問題」って、そうなった原因は間違いなくあなたにあるでしょ)。

全体的に読者の興味を引くトリックや仕掛けはいい線いっているのですが、作品の中核をなす「人間ドラマ」がめちゃくちゃです。こういうものが「有識者」の目に留まると、またぞろ「ほれみろ、だからミステリなんてものは人間が描けていない云々……」

No.2 5点 メルカトル
(2018/09/12 22:29登録)
一学期の終業式、彼女は教室から飛び降り自殺を図った。夏休みが終わろうとするある日、親友の沙耶は一通のメールを受け取る。それは意識不明のはずの彼女から届いたメッセージだった。「明日の昼1時、私たちの新しい教室で待ってます」。集められたのは6人のクラスメイト。誰があたしたちを呼びだした?―。
『BOOK』データベースより。

それなりに面白いんだけど、場面設定が一貫して教室内だけなので、ちょっと飽きてしまうしダレます。もう少し変化が欲しかったところですね。プロットと言うか構成の問題でしょう。他の作家なら意識不明のクラスメイトの現在のシーンを挿入するなり、工夫を施したのではないかと思います。
青春小説としての一面も持ち合わせていますが、誰にも感情移入できず、中途半端な印象を受けます。それぞれ個性的に描かれているのは良いとしても、心の深奥までは程遠く、結果駒のように扱われているのがどうにも首肯できかねます。
それと、延々意識不明の少女の過去を詮索していますが、第一に問題となるのは果たして誰が6人を呼び出したかじゃないですかね。そこが端折られているのは読者として納得がいきません。

最終章の仕掛けというかトリックには驚きました、と言いたいところですが、予想通りでした。結局、このアイディアを生かしたいがために長々と物語は綴られているのだと思いますが、こういうのは短編で十分ですね。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2018/08/29 10:17登録)
裏表紙より~『「新しい教室で待ってます」―呼び出しメールの発信者は25日前に自殺を図り、意識不明の重体で入院中のクラスメイト・麻帆だった。不審に思いながらも教室に集まる男女6人。消えた携帯電話、移動した教卓、教室に転がる消火器など自殺未遂現場に残された数々の謎。自分たちを集めたのは…?事件の真相に同級生たちが迫る。繊細で多感な高校生たちの青春ミステリー。 』~

集められた人物が真相を推理するというもの。「そして扉が閉ざされた」(岡嶋二人氏)を思い起こしました。真相は著者らしい”ぶっ飛んだ”内容ですね(笑)。ラストはちょっぴりホッとします。

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