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ミステリの祭典

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東京ダモイ

作家 鏑木蓮
出版日2006年08月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 zuso
(2022/08/01 22:13登録)
終戦後のロシアの捕虜収容所内で起きた殺人事件が、現代の日本で解決するという作品だが、凶器トリックのみならず、現代ミステリでは難しい暗号トリックを扱っており、トリックだけが際立つといいうこともなく、無理なく自然にまとめられている。
伏線の扱いもよく、キャラクターもそこそこ描写されており、デビュー作としてはまずまず。

No.2 6点
(2017/09/16 17:03登録)
謎解き対象とされる事件は、シベリア抑留中での殺人と、その60年後に国内で起こるロシア人女性殺人の2つ。
先の戦争が背景にあり、話の大部分に、ある関係者の句集(俳句に随筆、手記を組み入れたようたもの)が開示されるから、ミステリーとしては重くて地味なものとなっている。
いわゆる社会派推理小説だから、地味なテーマに合うようサプライズもなく、トリックも期待するほどではないだろうと想像する反面、この著者の他作品「時限」からすれば、かならず何かあるだろうという期待を抱きながらの読書だった。
結果的には、中途は十分にわくわくしながら読めたが、ラストはそれほどでもなかった。
でもまちがいなく力作です。

鮎川哲也賞でもなく、『このミステリーがすごい!』大賞でもなく、メフィスト賞でもなく、なんといっても天下の江戸川乱歩賞だから、こんな優等生的力作なのも当然といえば当然。
すごいと思うのは多視点描写。公募の新人ミステリー賞でこんなにむつかしく書いて、よく賞が取れたなぁと。さすが乱歩賞。でも選考委員はいやがるだろうなw

(このサイトではあまり読まれていないので、応援するつもりで一言)ネタバレか??
俳句が鍵になっているが、面倒くさがらず、ゆっくりとじっくりと句を解釈しながら読めば(自分はやっていないが)、かならず楽しめるはず。

No.1 5点 ウィン
(2010/09/25 12:11登録)
戦後、シベリアで捕虜として過酷な労働を科せられていた日本兵をテーマにしたミステリー。
ダモイというのは帰還という意味である。

まず思ったのは、江戸川乱歩賞のレベルの高さである。中途半端なミステリー作家よりは、作品は十分面白いと思う。
ただ面白いというのと、ミステリーとしての上手さは別である。
まだまだミステリーとしての未熟さは感じた。
しかし要注目である。

足りなかったのは、読者を引き込む力・そして犯人の意外性。後、刑事と槙野の視点が交代で話が進んでいくのは少し面倒くさい。

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