home

ミステリの祭典

login
スロウハイツの神様

作家 辻村深月
出版日2007年01月
平均点5.50点
書評数4人

No.4 5点 Kingscorss
(2020/09/17 10:14登録)
辻村深月さんの一番の代表作。一応叙述みたいな仕掛けはあったけど、ミステリーとして読むとかなりがっくり来るので注意。どちらかといえば青春恋愛小説。

内容は、一言でいえば現代の”トキワ荘”物語。本当、それ以上でもそれ以下でもない… 母親との確執で心に傷をもつ売れっ子女脚本家が、叔父から譲り受けたというアパートをリフォームし、スロウハイツと名付け、芸術関係の友人達を集めて共同生活する。それぞれの芸術分野での葛藤、人間関係の軋轢などを得て各々のドラマが続いていき、最終的には…

最終章はグッと来るものがあるが、そこに行くまでが長くて冗長に感じてしまう。理由の一つは読んでてイライラする住人(読めば誰かはすぐわかる)のせいもあるが、各章で丁寧に住人一人一人をきちんと描写するので、単純にページ数がその分多くなっているのが要因だと思いました。それと、冒頭の猟奇殺人が、事件単体としては全く掘り下げておらず、ただのエピソードの一つみたいな扱いで、どこかでキチンと真相がわかると思ってたら最後までなにもなかったので肩透かしくらいました…

冒頭でも書いたことですが、叙述ミステリーっぽい要素も含蓄してるのでミステリーに分類されることもある本作。しかし、ミステリーファンからするとかなり肩透かし喰らいますので、普通の恋愛青春小説として楽しむ人向けの本だと思いました。

No.3 6点 風桜青紫
(2015/12/20 00:25登録)
冷たい校舎や夜と遊ぶほど盛り上がらんので、普通に読む分には単調。スロウハイツの連中の生き様をつづった『史記列伝』として読もう。美男子ばかり作ってきた辻村さんがコウちゃんみたいなブサ男を出したのは意外と衝撃的。しかもこのラノベ作家、やけにかっこいいぞ。見た目はどうあら、趣味に身体はれる人ってなんだか憧れちゃうのよね。「恋愛もの」とか「感動もの」とかレッテル張りしてしまうと一気にせこい作品になっちゃうけど、オタクたちの楽しげな日常生活を描いた作品としては十分に楽しめた。しかし、すみれのダメ女っぷりが絶妙にむかつく(笑)。環はこやつにもキックを食らわせるべきではないか。

No.2 7点 白い風
(2014/06/11 10:20登録)
上下巻の2冊でしたが、上巻は正直つまらなかった・・・。
でも、一転下巻のラストはそれまで散りばめられたピースが次々とはまっていく心地よさがありました。
多少は想像してましたが、それ以上の数でした。
ただ分類はミステリ小説というより、やっぱり恋愛小説かな?(笑)

No.1 4点 メルカトル
(2012/05/05 21:31登録)
スロウハイツは、小説家と脚本家を中心に、漫画家や画家の卵などが集う、言わば現代のトキワ荘である。
特に目立った事件が起こるわけでもなく、物語は淡々と進んでいく。
一種の青春群像を描きたかったのだろうか、その意味では一応頷ける気もするが、お世辞にも読みやすいとは言えないし、無駄に長い。
一応、核となる過去の事件が存在するのだが、詳細は最後の最後まで明かされずに終わってしまっているのもいかがなものか。
最終章は多少心動かされるものがある。
どうせなら、最終章とその前の章のみで短編を書けばよかったのにと思うと返す返すも残念である。

4レコード表示中です 書評