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ミステリの祭典

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漂流者
別題『セーラ号の謎―漂流者―』

作家 折原一
出版日1996年09月
平均点6.50点
書評数6人

No.6 6点 ミステリ初心者
(2020/06/10 01:29登録)
ネタバレをしています。
 
 500ページを超える力作です。風間と美智代の漂流の件はやや長いと感じることもありましたが、サスペンス色の濃く、全体的にはすいすい読めました。とくに風間が三田村夫妻と佐伯と美智代をあつめた、そして誰もいなくなった風復讐劇が始まってからは先の展開が気になって仕方がなかったです(笑)。

 推理小説的には、しょっぱなから風間の口述テープから始まり、三田村の復讐ノートという作中作のような複雑な構造でいろいろ妄想させられます。しかし、肝心の叙述トリックの肝が、真っ先に思いつく類のものであり、やや拍子抜けしました。推理小説的にはいまいちな印象です。

No.5 7点 蟷螂の斧
(2012/08/15 08:18登録)
復讐劇とサバイバルもので読みごたえがありました。氏ならこう来るのではと確信しながら読んでいるうち、やはり違っていたかと思わせたり、また途中で予想外の人物が殺害されたりし、多少混乱しました(笑)。二つの物語(野獣死すべし・そして誰もいなくなったのオマージュ)がうまく絡まっていて、良い出来だと思います。

No.4 7点 E-BANKER
(2012/07/31 21:21登録)
文春文庫で折原といえばこの「~者」シリーズ。
本作はもともと「セーラ号の謎」というのがメインタイトルだったが、サブタイトルだった「漂流者」を正タイトルとして文庫化。

~妻と担当編集者の3人でダイビングに出掛けた人気推理作家・風間春樹。潜水中の事故で助けを求めたが、不倫関係にあった2人に見捨てられる。風間は流れ着いた島から自力で無人ヨットに辿り着いたが・・・。航海日誌、口述テープ、新聞記事等に仕組まれた恐るべき騙しのプロットとは? 叙述ミステリーの傑作長編~

なかなかの力作ではある。
映画「シーラ号の謎」をメインのバックボーンに据え、N・ブレイク「野獣死すべし」さらにはA.クリスティ「そして誰もいなくなった」までもモチーフに加えるというところが、いかにも折原らしい。
ミステリーファンなら「ニヤリ」とするようなプロットだが、普通の作家なら消化不良を起こしかねないように思うが、そこはさすが! 
終盤に向かうにつれて、徐々に混迷の度合いを増していく複雑なプロットをうまい具合に処理している。

まぁ、折原を読み慣れた読者なら、それ程のサプライズは感じないかもしれないが、ヒネリ具合は他作品と比べても高いレベルではないか?
最終章(エピローグ)を前に事件の構図が明かされるが、最初は別々だったはずの2つの大きな流れが徐々に絡み合い、もつれていくところが読者の眼前で展開されるが、実はその裏で巧妙な叙述トリックが仕掛けられているのだ。
この辺りは、ちょうど脂の乗った頃の作品ということだろう。

難を言えば、詰め込み過ぎたためにやや中途半端になっているところか。
あとは、ある人物に仕掛けられた「欺瞞」なのだが、これはちょっと卑怯な気がする。ネタバレになるが、○田○と□原はかなり人物像が違うはずなのだが・・・(「それくらい気付けよ!」ってことなのかな?)

トータルで評価すれば、折原作品としては「中の上」というのが妥当な線。

No.3 4点 つよ
(2011/05/02 23:54登録)
すらすら読めるけど。
ご都合主義すぎる展開で興覚め。

No.2 7点 こう
(2009/11/14 02:23登録)
 チャールズ・ウィリアムズの「絶海の訪問者」と洋画の「シーラ号の謎」をモチーフとしていると思われる漂流物で更に「そして誰もいなくなった」のパロディでもある意欲作だったと思います。ただ叙述トリック物としてはそれ以前の作品ほど特長は出ていないとは思います。「絶海の訪問者」はサスペンス色が強い作品ですが同じようなシチュエーションでも折原一が書くとこうも違うのが面白いです。
 漂流物は日本ではこの作品と泡坂妻夫の「迷蝶の島」がお気に入りです。

No.1 8点 アデランコ
(2002/04/01 14:57登録)
復讐話が好きなので、どんどんページをめくれました。
ただ、途中はダラダラ感があり、疲れてしまいました。

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