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ミステリの祭典

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火車と死者
神津恭介シリーズ

作家 高木彬光
出版日1959年01月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2024/01/06 16:04登録)
(ネタバレなしです) 1959年発表の神津恭介シリーズ第10作の本格派推理小説で、短編「火車立ちぬ」(1958年)を長編化した作品です(短編版は「神津恭介の回想」(1996年)で読めます)。鴉、猫、狐が力をあわせて死体をあやつり人形のように動かすという火車伝説を死体なき殺人事件に絡めていますが、当時全盛期だった社会派推理小説の影響でしょうか派手な演出は抑制され、地道に事件関係者の身辺調査が長々と続く展開のためオカルト演出は上滑り気味です。エラリー・クイーンの某作品を連想させる仕掛けはアイデアとして悪くありませんが、空さんのご講評で指摘されているようにその仕掛けの成立のために偶然を多用しているところも気になります。

No.2 5点
(2018/01/12 22:57登録)
神津恭介シリーズの中でも、最初のうち捉えどころのない事件が続くという意味では珍しい作品ではないでしょうか。「火車」とは熊本に伝わる特殊な伝説(という設定)ですが、事件との関わり方はちょっとこじつけめいています。伝説通りに事件が進むのは最初から犯人の意図したものではなかったという解決は、悪くないと思うのですが、だからと言って火車伝説を持ち出す必要もなかったのではないでしょうか。それによって不気味な雰囲気が漂えばいいかもしれませんが、むしろ全体的にはシリーズ中でも軽めの現実的な作風になっています。
謎解き面では、事件が特異なものになった大きな偶然の使い方は鮮やかだと思います。しかしその他にも二重の伝説利用、切断された腕の件など、小さな偶然を重ねすぎているところは不満です。元になるアイディアはいいのに、仕上げが雑になってしまった作品という気がしました。

No.1 6点 E
(2009/04/25 18:59登録)
最期は意外な犯人でした。
一人失踪すると一人の腕が届けられる・・・
「誰が殺したのか?」より「誰が殺されたのか?」という方へ
注目してしまう事件。

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