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ミステリの祭典

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水上都市の冒険
御手洗潔シリーズ

作家 島田荘司
出版日2026年07月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 虫暮部
(2026/08/12 15:08登録)
 これはなかなか素敵な作品集。
 物凄いトリックがあるわけではない。が、“ストーリー” でも “文体” でもなく、言ってみれば “エピソードを構成する個々のパーツ” のリズムが心地良い。
 御手洗くんはやはり見ているもの摑んでいることが他の人とは違うけど、その微妙なズレが生み出すグルーヴが感じられた。受け手である記述者少年の反応がまた優しく絶妙で、決して御手洗くんの独り舞台にはなっていない点も良かった。
 “何を” ではなく “どのように” 書くかで生まれる価値。少年時代を舞台に据えたせいで偶然生じたのかも知れないが、島田荘司が今になってそんなものを手にしたとは吃驚&感激。

No.1 6点 メルカトル
(2026/08/08 22:21登録)
惜しい。6点か7点で迷いましたが、最後の書下ろしが謎がやや強引だったのが気になり、評価が落ちました。しかし、御手洗潔ファンは必読の書だと思います。御手洗くん中学生の時の事件簿で、謎の規模は小さいものの全体的にまずまずの好篇が続き、昭和30年代の横浜の雰囲気が肌で感じられます。又少年少女の個性が際立っており、特に鈴木えり子の別れ際の「さみしいよー」の台詞がジーンと来ます。

私の一番のお気に入りは『火事マニア』。他は江口くんの一人称で語られますが、これに限ってはえり子目線で描かれています。途中で事件の大筋は見えて来ますが、容疑者の野本君が頑なに口を閉ざす気持ちが分かり過ぎて、うーんそうだよなと同情を禁じ得ません。他は正直どれも平均的な出来で、事件の規模が小さいので、あまりドラマティックとは言えません。が、少年少女達の揺れ動く心情が切なく描かれており、本格ミステリでありながら青春ミステリの一面も見逃せません。それにしても、この頃から御手洗潔は警察を信用していなかったんですね。いや、それは幼稚園の頃からか。

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