home

ミステリの祭典

login
幕が上がれば誰かが誰かに殺される
アーネスト・カニンガムシリーズ

作家 ベンジャミン・スティーヴンソン
出版日2026年07月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 HORNET
(2026/09/27 21:53登録)
 アーネスト・カニンガムに離婚した元妻から助けを求めるメールが元妻から届いた。駆けつけると、彼女は恋人をめった刺しにして殺した容疑で逮捕されていた。アーネストは真実を解き明かすため、殺された恋人が経営していた劇場で行われるマジックショーに赴く。だが、そのマジックショーの舞台上、観客の目の前で、主演マジシャンが仕掛けのギロチンで首を撥ねられるという凄惨な事件が起きてしまう……。



<ネタバレ>
 「信頼できる語り手」を自認し、すべての手がかりを読者に示すフェアプレイの精神で話を進める探偵・アーネスト。本格黄金時代のような直球本格ミステリはやはりよいものだ。
 真相から照らして伏線を振り返ると、その手際には確かに感心させられる。アドベントカレンダーという演出も面白く、アイデアと構成力は本当にすごい。
 そんなふうに緻密に編まれた謎解きだからこそ、手がかりはすべて明示されているとはいえ、真相を推理するのは逆にほぼ無理っぽい。ダイイングメッセージのからくりや、殺されたライルの障害のことなど…
 エリンの手が血まみれになっていたことの真相はゾッとする。しかしいくらなんでも気づくのでは?(匂いとか、泡立ちがないこととか…)

No.2 6点 kanamori
(2026/09/02 13:44登録)
自称”信頼できる語り手”(で、饒舌すぎる語り手でもある)ミステリ作家のアーネスト・カニンガムを主人公としたシリーズの3作目です。今回はクリスマス特別編ということで、300ページに届かないコンパクトな作品に仕上がっていて、そのためなのか、前2作のような読者に語りかけるメタフィクショナルな作風はわりと控えめで、そういった無駄口が鬱陶しいと感じていた人も純粋にパズラーとして楽しめるかもしれません。

発端は元妻のエリンからの助けを求めるメール。エリンは同棲していた恋人のライル・ピアースを自宅で包丁で刺殺した容疑で逮捕されていた。被害者のライルは某財団の理事長を務める富豪で、クリスマスを控え経営していた劇場でマジック・ショーを予定していた。無実を訴えるエリンのために、アーネストが聴き込みを始めると、その劇場には怪しい関係者が勢揃いしており、さらにマジック・ショーの最中に舞台で第2の殺人が起きる……………。
もちろんフーダニットが中核の謎ですが、付随する謎がいくつかあり、ひとつはエリンの両手が本人が気が付かないのに血塗れになった原因(ハウダニット)、ライルの”クリスマス”というダイイングメッセージ、ライルが警察に連絡した”殺人予告”の意味などなど。
物語は、劇場があるオーストラリアの世界遺産ブルーマウンテンズにある街で終始進行し、最後は観光地のロープウェイのゴンドラの中に関係者を集めての決着と、演出が凝っていましたが、謎や疑問点の全てに伏線があったことが最終的に明かされるものの、読者が推理出来る類いのものとは思えなかった。

No.1 6点 nukkam
(2026/08/18 16:34登録)
(ネタバレなしです) 2024年発表のアーネスト・カニンガムシリーズ第3作の本格派推理小説ですがクリスマスシーズン向けとして書かれ、ハーパーBOOKS版で300ページに満たない薄さです。とはいえプロローグで「ルールを遵守したフェアプレーのミステリーであることには変わりない」、「12月1日から24日まで一日ずつカウントダウンして(中略)二十四章のなかに、謎解きの助けとなる手がかりを二十四個ちりばめた」と堂々と宣言して謎解きの手抜きはありません。今回アーネストが巻き込まれたのは元妻のエリンが逮捕された殺人事件です。二階で寝ていた彼女が起きると両手もシーツも血まみれで、階下では恋人のライルが死んでいたという手ごわい事件です。中盤にはマジックショーでクレイトン・ロースンの「帽子から飛び出した死」(1938年)やジョン・ガスパードの「秘密だらけの危険なトリック」(2014年)でも登場した銃弾受け止めマジックをトライしています。23章の終わりには「読者への挑戦状」に相当するコメントが挿入され、解決章では全容疑者をゴンドラに乗せてアーネストが推理を披露し、乗り場に着くたびに無実の容疑者を降ろしていくという、演出に凝りまくった作品です。殺害トリックもさることながらエリンを犯人に仕立てるためのトリックがとても印象的でした。

3レコード表示中です 書評