(2026/08/17 17:04登録)
(ネタバレなしです) 英国のウィリアム・ハッセー(1977年生まれ)は事務弁護士出身で2010年に作家デビュー、ヤングアダルト向け作品を書いていましたが初の一般読者向け作品が2023年発表のスコット・ジェリコシリーズ第1作の本書です。ジェリコは元刑事で、ある事件の犯人に暴力を振るって投獄された経歴があり現在は父親の移動遊園地で働いています。そんな彼に三連続殺人事件の調査依頼が入ります。150年前に橋の落下で5人の芸人が死亡する事故がありましたが、今回の被害者はその芸人に見立てた死体となっていました。文春文庫版の千街昌之による巻末解説で「古典的本格ミステリの味わいと現代性が絶妙なかたちで組み合わされた」と絶賛されていて、動機不明の見立て連続殺人ということからヴァン・ダインの「僧正殺人事件」(1929年)の現代版本格派推理小説を期待して読みましたが全体的にハードボイルドの雰囲気が濃く、最後はかなりサイコサスペンス風になります。本格派ならではの謎解き推理もあるとはいえ、異様な動機については他人の説明に頼っています。昔ジャック・カーリイの「デス・コレクターズ」(2005年)を読んだ時と同じく、純然たる本格派として期待してはいけなかったという思いが残りました。
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