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ミステリの祭典

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スカーフェイク 暗黒街の殺人

作家 霞流一
出版日2025年09月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2025/11/28 13:25登録)
 変則的な多重解決みたいなもの。繰り返しが過ぎて少々飽きてしまったが、最終的な真相がそれまでとは別の部分を掘り下げているので、“正答” としての説得力があり立派だ。その上で、探偵側の “仕掛け” には確かに驚かされた。
 ただ、コテコテのキャラクター設定や二つ名からして、この “暗黒街” はメタ的なギャグだとしか思えず、それが本作に於いてはマイナスに作用した。霞流一を読むのにそんなこと言ってちゃ駄目かなぁ。

No.1 8点 みりん
(2025/11/08 15:10登録)
日本の新本格作家達の多重解決に対する並々ならぬ情熱はどこからやってくるのでしょうか。今年も斬新なヤツがやってきました。
裏世界の大物「鮫肌の哲」が鍵の掛かった倉庫の中、いわゆる完全な密室状況で死んでいるという展開から始まります。多重解決といってもギャングの世界では一味違って、俺こそがあの大物を殺した犯人だと次々に名乗りをあげるのです。裏社会の名探偵である邪無吾(ジャンゴ)は偽犯人達の主張する密室トリックを論理(スジ)で否定していきます。

最近読んだ井上真偽の『その可能性は既に考えた』に近い展開ですね。私的には、決め台詞は井上真偽の方が厨二臭くて好みです。
途中からかくれんぼ大会みたいになりますが、私が好きなのは、唐獅子キッドと流れ星来斗の仮説で後者は特に実数解にして欲しかったなあと思うくらいでした。真相に採用されたのはかなり前例のあるものでしたが、無数の手がかりが一挙に繋がる点や、多重解決に意義を見出している点がウリでしょう。

7点と8点で迷ったが、情報後出しなしの"逆"多重解決×密室×アウトローという趣向がいいので8点。
今年の本格ミステリ・ベスト10に入ると思います。

※以下ネタバレ付きのイチャモン
・計画的な犯行なら写真を撮るはずだ→流石に否定の論理としては……
・p230 「普通、自分で靴を履く場合、右の靴の踵を掴むのは左手。右手で右靴を掴んで履こうとするのは凄くやりにくい。左手の方が極めて容易。」→え、そうなん?右手で右の靴掴むの自分だけ!?

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