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ミステリの祭典

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卑弥呼の殺人
弥生原公彦シリーズ

作家 篠田秀幸
出版日2005年02月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 E-BANKER
(2020/06/24 20:55登録)
名探偵・弥生原公彦シリーズの長編九作目。
今回はタイトルどおりの歴史ミステリー+いつものド本格ミステリーのハイブリッド(?)作品。
2005年の発表。

~『邪馬台国はやはり北九州にあったのだ! その事実は他ならぬ「古事記」「日本書紀」も正面から認めている』・・・古代史ミステリーを版元から依頼された作家・築島龍一の前に、ファンタジー界の超人気女性作家・奈々村うさぎと卑弥呼の末裔と称する妖艶な女性が現れた。彼女たちと北九州に取材に出かけた築島の周りで、不可解な密室殺人がつぎつぎと起こるのだが・・・。名探偵弥生原公彦が、古代史と連続密室殺人の謎に挑む~

久々に読んだ本シリーズ。いやぁー相変わらず、よく言えば本格愛に溢れる、悪く言えばクドイ作品だった。
本作は「法隆寺の殺人」に続く歴史ミステリー&本格ミステリーの融合作品。
作中でも書かれているとおり、高木彬光「邪馬台国の秘密」および松本清張「古代史疑」による両者の論争がベースとなっている。加えて、それ以降の学会での研究、論争で「畿内説」が有力になっているという学説に対し、果敢に挑むという構図。
その真偽については、当然判定できる立場にはないんだけど、それなりの説得力は感じることはできるレベル。(ただし、作者の場合、パクリではなく自説なのかという疑念は残るが・・・)

で、問題なのが「本格ミステリー」の方。なんと三連続で起こる密室殺人事件、しかも超堅牢なやつという徹底ぶり。
最後のやつは、バラバラにされ、首が宇佐神宮の社に祀られるという大胆不敵な設定。
でも、これは・・・ちょっとヒドくないか?
一つ目と二つ目は相当なご都合主義だし、三つ目のトリックは他の方もご指摘のとおり、敬愛する高〇〇光氏の著名作のパクリ・・・。
正直なところ、歴史ミステリーだけにして分量を2/3程度にまとめた方がいいくらい。
最後の仕掛けもなぁ・・・「作中作」が効果を上げているとは言い難い。
「遊び心」というよりはピントはずれな感じだ。

ということで、シリーズも終盤を迎え、だいぶ経年劣化が進んでしまった印象。
築島の小市民ぶりもちょっと鼻につくし、ネタ切れという評価が妥当かな。

No.2 6点 nukkam
(2018/04/27 09:41登録)
(ネタバレなしです) 2005年発表の弥生原公彦シリーズ第9作の本格派推理小説で、歴史の謎解きと現代事件の謎解きの二本立てというのは「法隆寺の殺人」(2001年)以来です。歴史の謎は高木彬光の「邪馬台国の秘密」(1973年)でも扱われていた「邪馬台国はどこにあったか」という謎で、高木説に松本清張説まで引用して考証しています。作中に20以上の図表が登場しますが現代事件に関する図表はわずか2つですので歴史の謎解きに相当力が入っていることがわかりますが、付随的に見える現代事件の謎解きもある意味「究極のミステリー」を狙った大胆な仕掛けが用意されていました。この仕掛けと「読者への挑戦状」が両立しているのか微妙な気もしますが、往々にして読者が馬鹿にされたと感じてしまうところを馬鹿にされたのはワトソン役であると感じさせるように工夫していてそれほど不満は覚えませんでした。但し弥生原が「究極の密室トリック」と自賛しているトリックが先輩作家トリックのもろパクリなのは許さん(笑)。

No.1 6点 測量ボ-イ
(2009/09/10 20:13登録)
(多少ネタばれ有)

 高木彬光氏の「邪馬台国の秘密」他の著作を踏まえて、邪
馬台国の位置推定を筆者なりに行う歴史推理もの。書いてあ
る内容が、前出の高木氏の作品より難しく、結論が分かりに
くいきらいがありました。
 謎とき部分については「作中作」をうまく用いたトリック
ですが、作中作については「読者への挑戦」前に提示しない
と、犯人あてとしては難しすぎるのではないですか?アンフ
ェアとはいいませんが、ややずるいと思われる箇所もありま
したし。

 この作品で僕が最も印象に残ったのは、清張・彬光の推理
会の両巨匠がかつて(昭和30年代?)創作に関する確執があ
ったという逸話です。この話しは僕個人全く知りませんでし
たし、興味深く読めました。

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