| 彼女たちの牙と舌 |
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| 作家 | 矢樹純 |
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| 出版日 | 2025年05月 |
| 平均点 | 6.67点 |
| 書評数 | 3人 |
| No.3 | 7点 | HORNET | |
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(2026/01/25 20:04登録) 小6の息子を中学受験させるために塾に通わせている後藤衣織は、同じ塾に子供を通わせる「お受験ママ」の3人とお仲間として集う日々を送っていた。ある日、4人でのティータイムの帰り道にメンバーの手島知絵に「相談がある」と呼び止められる。話を聞くと何と、智絵がバイト感覚で詐欺グループの仕事に加担してしまい、深みにはまっているという。対応策を練る中で、グループの他の主婦たちも関わっていることが分かってきた… <ネタバレ> 4人の主婦それぞれの視点からの物語が章立てされ、それによって智絵の悪事への加担から始まった物語が、実は衣織以外のメンバーすべてが関わっていたという驚きの全体図が見えてくる。桐野夏生の「OUT」さながらに、一般的な生活を営んでいた主婦たちが、いとも簡単に犯罪のハードルを越え、「〇しちゃいましょうよ」という話にまで至ってしまう非日常への飛躍。主人公的な存在の衣織の推理力により、それが段階的に明かされていく構成はうまかった。 ラストの締め方も面白く、現実的ではないにせよ物語としての面白さは十分にあり、かなり楽しめた。 |
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| No.2 | 7点 | 虫暮部 | |
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(2025/10/31 13:11登録) 随所に捻りがあって息をつく暇も無い。ただ、全体として、“言質を取る” とか、相手のフェアネスを信頼し過ぎな感がある。殺人も辞さない反社なのに。反撃したら駄目だろう。ロックオンされないように逃げることをもっと重視しないと。 まぁ最後の落としどころは、それを踏まえて上手いところを突いていたと思う。 ところで第一話。あの人が相手方に情報を売ったなら、前半の “どうして素性がばれたのか?” の推理は机上の空論? でもそれは釣りメールが来た現実と矛盾してない? |
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| No.1 | 6点 | 人並由真 | |
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(2025/08/19 12:48登録) (ネタバレなし) 息子・蒼祐を進学塾「和光ゼミナール」に通わせることになった40歳の後藤伊織は、息子の幼稚園時代の園児仲間の女児・紗羅の母親である久代澄佳(42歳)と再会した。紗羅も同じ進学塾の生徒となるらしい。そして伊織は澄佳の紹介で、やはり自分の息子や娘を同塾に通わせる34歳の吉葉杏里、49歳の手島知絵と受験生の子女たちの親同士のコミューン的な場を築き始めた。本当にプライベートな事情だけは秘めながら少しずつ距離を縮めていく4人の母親たちだが、やや複雑な状況のなかで彼らの距離感は少しずつ変遷していく。 秀作もあれば凡作っぽいのも出す、という印象の作者だが、本作は中年女性たちのノワールっぽい作品。 なんか噂だけ聞いてる桐野夏生の『OUT』みたいな? とも思うが、評者はそっちは大メジャー作品ながらまだ未読なんで比較はできない(笑・汗)。 ただまぁ、世代人のミステリファンのヒトは、本作の設定を聞いてたぶんそっちを連想するのではないか。 でまあ感想はそれなりに面白かったが、あちこちから集めて帯に載せた激賞の数々ほどに楽しめたとは、とても思えず。 4人の中年ヒロイン主人公が、大別して全5章のそれぞれのパートで交代しながら一人称「私」の語り役を担当。それぞれの抱える事情を読者に向けて明かしながら、経糸のドラマ(事件)を奥へ奥へと転がしていく。 一見、凝ってるようで、実は意外によくある(というかどっかで見たような)構成だよね、という感じであまりテンションが上がらない。 個人的にはAmazonのレビューのひとつにあった<各ヒロインの似たような別の内容のグチを、どれも同じようなテンションで聞かされる、そんなかったるさ(大意)>というのが一番近かった。 ただまぁ、小規模なサプライズはそれなりに用意されているし、実質5人目の主人公? ともいえる某キャラの扱いも悪くは……ないかな(いろいろと問題のある人物ではあったが)。 あと、主人公たちの描写のまとめと、ストーリーの着地点はちょっと印象に残る。特に後者はある意味、人を食った感じで、この作者らしいといえばいえるか。 評点はこんなもんで。 |
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