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ミステリの祭典

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杉森くんを殺すには

作家 長谷川まりる
出版日2023年09月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 sophia
(2025/09/25 22:09登録)
親友を亡くしたことへの悲しみ、後悔、自己正当化、様々な感情に押し潰されそうになっている高校生の少女が周囲の支えによって再び歩き出すまでの物語。本書は児童文学とのことですが、大人にこそ読まれるべき深い作品だと思いました。ただ、気になった点がひとつ。主人公の動機メモや回想において杉森くんの情報が小出しにされますが、性自認の件が浮いていてサプライズのためだけのものになってしまっているので、これはない方がよかったと個人的に思います。「杉森くんはお姫さまみたいな恰好をしたがった」という記述との整合性がありませんし。そうなるとタイトルを変えないといけなくなりますけれども。

No.2 6点 メルカトル
(2025/08/18 22:30登録)
――「杉森くんを殺すことにしたの」
高校1年生のヒロは、一大決心をして兄のミトさんに電話をかけた。ヒロは友人の杉森くんを殺すことにしたのだ。そんなヒロにミトさんは「今のうちにやりのこしたことをやっておくこと、裁判所で理由を話すために、どうして杉森くんを殺すことにしたのか、きちんと言葉にしておくこと」という2つの助言をする。具体的な助言に納得したヒロは、ミトさんからのアドバイスをあますことなく実践していくことにするが……。
Amazon内容紹介より。

児童書ですが、私の様な心の病んだ大人が読んでも心に響くものがありました。ここではないどこかで半分ネタバレされたんですが、それでも読む価値はあったと思います。ミステリではないのであまり気にしてはいけないかも知れませんが、仕掛けの見せ方をもう少し上手く出来なかったかなという残念な気持ちはあります。

微笑ましさと痛々しさが同居する青春小説です。誰にとっても優しい語り口調で大衆に訴えかける、ある女子高生の物語で、何故彼女は杉森くんを殺そうと計画しているのかといういわゆるホワイダニットと捉える事も出来ます。
尚特に注目したいのが解説で、本編よりもこちらの方がそれぞれの人の生き方の参考になったりします。人の性格も色々で人生も何が起こるか分からない中で、今まさに苦しんだり悩んだりしている人に読んで欲しい作品です。

No.1 7点 take5
(2025/08/07 16:57登録)
杉森くんとは、どんな人物なのか
なぜヒロは殺そうとしているのか
ヒロの周りの友達やミトの存在は

読んでいくと次第に各々の世界が
捉え方が現れてくる。と同時に、
私達の捉え方も認知されてくる。

グリーフケアの話ですと一言では
括れない、様々な気付きを与える
大変興味深いYAコーナーの本です
多くの人に知って頂きたいです。

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