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ミステリの祭典

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ブレイクショットの軌跡

作家 逢坂冬馬
出版日2025年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 虫暮部
(2025/07/18 11:59登録)
 良い意味でなかなか計算高い “次の一手” ではないだろうか。デビュー作の軛から逃れ、ジャンル作家脱却を図っている。
 前二作のような冒険要素は少ないし、一直線にゴールを目指すあの潔さも無い。細切れにした物語が渾然一体となって語るのは、何が何と繫がっているのやら判らない世界の有様。しかしその雑味の多さこそが本作の味わい。多彩な価値観を器用に使い分け、どのエピソードもリーダビリティが破格。うっかり一気読みしてしまったよ。えっ、架空の車種なんだ……。

 ところで無神経だと謗られる覚悟で言うが、プロローグに出て来るラップ、そんなにひどいか? 極論暴論を述べる歌詞なんて良くあるし、個人の表現でそこまで全方位に気を遣わなきゃ駄目かなぁ? 本作中最大の違和感である。

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