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ミステリの祭典

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名探偵再び

作家 潮谷験
出版日2025年04月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 メルカトル
(2025/12/31 22:20登録)
私立雷辺(らいへん)女学園に入学した時夜翔(ときやしょう)には、学園の名探偵だった大叔母がいた。数々の難事件を解決し、警察からも助言を求められた存在だったが30年前、学園の悪を裏で操っていた理事長・Mと対決し、ともに雷辺の滝に落ちて亡くなってしまった……。
悪意が去ったあとの学園に入学し、このままちやほやされて学園生活を送れると目論んでいた翔の元へ、事件解明の依頼が舞い込んだ。どうやってこのピンチを切り抜けるのか!?
Amazon内容紹介より。

第一章でそうだこれで良い、シンプル・イズ・ベストなんだと深く肯く私。決して複雑ではないけれど、推理がびしりと決まって実に綺麗な解決は見事としか言い様がありません。こう云うので良いんだよとテンションが上がりました。しかし第二章第三章は納得が行かない点が若干あり、微妙な感じになってしまいました。

そして第四章はまたまた好感度がアップ。タイトルや文体から演技なのかとも思えましたが、そうではありません、ちゃんと毒薬が入っていて安閑としていられない緊迫感が生まれます。更に終章で、キタ―――!これ又そうだったのかと、うんうんと頷く私。やられた爽快感に存分に浸れました。終わり良ければ総て良しと一概には思いませんが、着地が見事に決まってやはりエンディングは大事なんだなとひしひしと感じました。なかなかの良作だったと思います。

No.2 7点 人並由真
(2025/08/29 12:22登録)
(ネタバレなし)
「私」こと、貧乏な元・私立探偵を親に持つ女子中学生・時夜翔は、<学校に相応に貢献した者の親族や関係者には、優待的な措置をとる>という条件に惹かれ、私立「雷辺」女学園に入学する。翔の大叔母にあたる同校の30年前の在学生・時谷遊は校外にも名を轟かせた少女探偵だったが、大犯罪者「M」と相討ちになりわずか16歳で夭逝した伝説的な人物だった。その遊の血筋ということでさまざまな優待を受ける翔だが、同時に周囲は<伝説の少女名探偵の再来>として翔の推理力に期待を込めた。自分が名探偵でもなんでもないと自覚する翔は周囲の期待を裏切らないように(現状の厚遇を維持できるように)「名探偵」役を演じようとするが、そんな彼女には意外な出会いが待っていた。

 「雷辺(らいへん)」だの「M」だののキーワードからわかる通り、かの大名探偵の一大イベントにちなんだパロディ風味の強いパズラーで、連作事件の積み重ねが長編作品となるタイプのもの。
 なお目次にはあえてこの事件は何ページから、とノンブル数を記載しておらず、つまり各編(各事件)が短めなのか長めなのか一本一本を読み終えるまでわからない趣向なのも、妙にスリリングでいい。
 日常系(?)の謎パズラーとしては、個人的には第1話の解法がいちばん面白かった。

 で、全体のナニについては、ある程度まで読めていたが、自己採点すれば100点満点で40点くらいか(←私の先読みの的中度が)。なるほど、実際の作中のサプライズは、予想のやや斜め上で、しかもキレイに決まっていた。

 遊び心としゃれっ気を感じさせながら、ちょっと甘苦い青春ミステリの持ち味も備えた作品。 
 他愛ない、と切って捨てる人もいそうな感じでもあるが、その辺のどっか一流半的な感覚も含めて、なかなか愛おしい一冊だった。

No.1 5点 虫暮部
(2025/07/18 11:58登録)
 第三章までの事件はポイントが摑みづらく、イマイチ気持が奮い立たなかった。読み返せば理屈としては納得出来るけれど。伝聞で語られるせいかな?
 と言う分析を裏付けるかのように、事件に直接遭遇する第四章で一気に面白くなり、最後のサプライズには脱帽。
 前半もっと上手く書ければ、とは思うが、一人称記述も伝聞も、設定上の必然だろう。どうしたものか……。

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