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ミステリの祭典

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仮面の島
建築探偵シリーズ

作家 篠田真由美
出版日2000年04月
平均点4.67点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2015/08/22 07:35登録)
(ネタバレなしです) 2000年発表の桜井京介シリーズ第7作です。前半は失踪事件ぐらいしか事件性のあるネタがなく、あまり盛り上がりません。中盤になるとかなり劇的な動きがあるのですが、これは一般的な本格派推理小説で扱う事件とはやや異なる展開です。京介の最後の説明を読むとこの作者のねらいはよくわかるのですが(だからイタリアのヴェネツィアを舞台にしたのですね)、謎の提示が散漫なため複雑な真相のインパクトが弱くなってしまったのが何とも勿体ないです。

No.2 3点 Tetchy
(2011/06/26 00:25登録)
8作目にして舞台は初の海外。本書の前に編まれた初の短編集には桜井の海外放浪時代の事件が書かれていたが、それはこの作品への手馴らしといったものか。元来海外、特にヨーロッパ建築に造詣の深い作者だから、京介が大学を卒業して輪をかけて融通のつく立場になったことも含めてこの舞台は満を持しての物だと云えよう。

やはり海外が舞台になると観光小説の色が濃くなるのか、作者が取材で得たイタリアの風習や各所名所についての薀蓄が施され、実際殺人事件が起きるのは約3/5を過ぎたあたりなので、これは非常に遅いといえよう。アーロン・エルキンズのスケルトン探偵シリーズを読んでいるような感じを受けた。

さらに異色なのは建築探偵シリーズでありながら今回は対象となる建築物がないことだ。今まで事件の真相よりも建物に込められた人の想いを解き明かすのがシリーズの主眼だったのだが、今回は全くそれが見られず、逆に殺人事件に主眼を置いた本格ミステリになっている。

しかしそれでも篠田氏の騙りは浅いなぁと思う。特に賊が襲ってきて無差別に人を撃ち殺すところなんかはその時点で真意が透けて見えるほどバレバレだ。やはり驚愕の真相やどんでん返しをこの作家に求めるのは酷なんだろう。
そしてやはりこの作家、自分の美学に酔っているとしか思えない。最後で明かされる本書の真犯人の動機はなんとも観念的で独りよがりだし、最後に自決するのも昭和の頃の少女マンガを読まされているような感じがした。

実はつぶさに解体していくと本書で篠田氏がやりたかったのはクイーンのオマージュではないかと思える。実行犯とは別にその裏に殺人を示唆する本当の悪の存在が最後に浮き彫りになるという構成には2本ほどクイーンの作品が思い浮かぶし、島1つが個人の持ち物でなおかつそこにある屋敷に住んでいる主人といえば『帝王死す』を否が応にも思い浮かべてしまう。

さらに二十歳になった蒼は成人しても京介とじゃれ合うことを止めない。この辺のBLテイストをどうにかしてほしいものだ

No.1 6点 vivi
(2008/03/23 17:56登録)
ミステリとしては、HOWの妙味が薄い作品で、
WHOが中心の物語でしたが・・・
そのWHOに関しては、冒頭から思いっきり犯人を示唆する記述。
結末でひねってはありますが、
読者としては「どう読めばいいの?」という作品でした。
動機もね・・・ちょっと弱いかな。

イタリアの風に吹かれたい人は、楽しめるかもしれません。
それから、私のようなキャラ好きも(笑)

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