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ミステリの祭典

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さかさ星

作家 貴志祐介
出版日2024年10月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 文生
(2025/03/28 11:38登録)
著者らしい綿密な取材に基づいた作品であり、次々と語られていく呪物に関する蘊蓄が興味深い。とはいえ、蘊蓄がいささか長すぎで中弛みを起こしているのは否めないところ。それに貴志ホラーといえば、『黒い家』といい、『天使の囀り』といい圧倒的な怖さがウリだったはずですが、本作は蘊蓄が続くせいで全然怖くない。最初の惨劇は事件の概要が語られるだけで具体的な描写はありませんし、クライマックスの惨劇も不完全燃焼に終わってしまいます。ちょっ怖かったのはラストぐらいでしょうか。中盤におけるフックの効いた展開はゾクゾクしましたし、全然つまらないということはないものの、蘊蓄が多すぎて物語としての起伏が乏しい印象を受けました。

No.2 6点 虫暮部
(2025/03/28 11:24登録)
 霊能者イコール特殊技能を持つ探偵、と解釈して “呪物の論理” を解くコンセプトは、薀蓄も含めて楽しめた。

 しかし視点人物がどうも摑みにくい。動画撮影中ってことで一歩引いたカメラ操作者のポジション、但し血縁者なので自身もリスクは負っている。それなりに知恵と知識はあるようで、後半は意外と活動的になる。
 総じて、一族と霊能者の間に入って仲介する “役割” はあっても、個人としてのキャラクターが希薄。ストーカーの件は浮いているなぁ。床下で実況の真似をする場面は良かったが。
 彼の妙に平坦な視点が物語全体を抑止して、血みどろの筈のエピソードにワン・クッション挟む働きを果たしている。それこそ液晶モニター越しに事態を見ているような他人事感がずっと付き纏って共感しづらかった。もっと素直に “読者を怖がらせること” に注力しても良いのでは?

No.1 5点 たかだい
(2024/12/07 04:32登録)
久しぶりに読む貴志祐介による呪物をテーマにした本格ホラー作品
なにかと理由を付けて縁起物を徹底的に排除し、本命と囮を混ぜ込んだ様々な曰く付き物品を屋敷に持ち込んだ話の元凶ー底知れぬ悪意が持つ「何がなんでも一族を根絶やしにする」という執念、情念は読んでいてゾクリとさせられた
ただ、一方で大ボリュームの割に曰く付き物品(呪物)が次から次へと出て来てその都度曰くが説明される為、呪物の紹介本と化している感も少なからず感じられる。そこは、ちょっと残念に感じました
個人的には「黒い家」や「ISORA」の印象が強い分ホラーの人というイメージがある貴志祐介という事で結構期待して読んだ感想としては、「天使の囀り」を読んだ時のようなある種の重苦しさも感じられて雰囲気も良かった割にまぁまぁ怖いと言った所に落ち着いたのはその辺が理由かもしれません
設定や雰囲気は良質ながら、ボリュームに見合った面白さがあったかと問われると若干物足りない作品でした

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