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ミステリの祭典

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虚魚

作家 新名智
出版日2021年10月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 ぷちレコード
(2024/08/03 22:30登録)
人が死ぬ怪談を集める女怪談師と、その実地検証役の同居人が、釣ると死ぬという魚の怪談の発生源を文字通り遡っていく。その調査と推理による追跡行は、怪異の様相が次第に変容し、意外な地点へとたどり着く展開まで含めてミステリ的だが、同時にルポ系怪談の手法そのものである。
なぜ怪談を追い求めるのかというホワイダニットが、怪異の実在を前提とした二重のハウダニットに重なる構図も面白い。

No.1 5点 SU
(2024/06/25 21:27登録)
物語は三咲の同居人カナちゃんが釣り堀で釣り上げたら死ぬ魚がいるらしいと聞いてきたことに始まる。三咲は怪談オタクの西賀昇に協力を要請、彼は静岡県釜津市の名刺に、人の言葉を話す恐魚伝説があるのを見つける。二人は現地に赴くが、地元の人によると恐魚がいるのは東海道の難所として知られた隣町の狗竜川の河口だという。帰郷した三咲は川に憑かれていく。
序盤の展開からして怪談小説ぽいが、三咲が川に取り憑かれるのはもともとトラウマがあるからで、体験したら本当に死ぬ怪談を探しているのも、実はそこに動機があることが明かされるや、ミステリ的なサスペンスも生成し始める。中盤からはミステリとホラーがバランスよく展開している。

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