| 天狗屋敷の殺人 樋山忍&古賀鳴海 |
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| 作家 | 大神晃 |
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| 出版日 | 2024年05月 |
| 平均点 | 5.33点 |
| 書評数 | 3人 |
| No.3 | 5点 | nukkam | |
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(2025/09/30 20:19登録) (ネタバレなしです) 大神晃(おおがみこう)(1994年生まれ)のデビュー作となる本格派推理小説で、某ミステリー賞の応募作を改訂して2024年に出版されました。なんでも屋店主の樋山忍とそのアルバイトの古賀鳴海を探偵コンビにしています(両名とも男性)。新潮文庫版の裏表紙で「横溝正史へのオマージュに満ちたミステリの怪作」と紹介されており、なるほど真相には横溝作品を連想させるような要素があります。トリックについては確実性に難ありかなと思いましたが、その欠点にもきちんと理由づけされていました。もっとも怪作と言うほどの異様さは感じられず、普通の本格派だと思います。語り手である古賀鳴海が女性にもてまくるという設定はもて経験のない私からすると全く共感できないキャラクターで(笑)、エピローグで樋山が「お前やっぱ最低だな!」と吐き捨てたのには大いに賛同です(爆)。なお最後は「七人ミサキ連続殺人事件」の予告編のように締め括られていますが、次作の「蜘蛛屋敷の殺人」(2025年)で扱われたのはこの事件ではありませんでした。 |
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| No.2 | 6点 | 人並由真 | |
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(2024/07/21 08:28登録) (ネタバレなし) 悪くはない……とは思う。 イヤミとかの意はまったくないつもりで言うけれど、これが昭和30年代の旧作パズラーだったなら、おお、なかなか拾い物だねえ! 的にトキメいたという感じがする。 ただまぁ、2020年代のあんな作品もある、こんな作品も出てる、新本格ミステリ円熟時代にあっては、あまりにフツーすぎる印象。 (大トリックも、実際の決行時をイメージするとなかなかのインパクトなのだが、似たのをしばらく前にどっかで読んだような……。) ヒロインのヤンデレ設定と、主人公の自覚的な美形イケメン設定も、もうひとつ踏み込んで栄えなかったのも残念。お話はよくまとめてあるとは思うが、全体的に小説的な演出にワサビが効いてない(©仁木悦子)という感慨を抱く。後半はうっすら眠かった(汗)。 とはいえ作品はシリーズ化されそうなので、次が出ればまたたぶん読むでしょう。 |
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| No.1 | 5点 | 文生 | |
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(2024/06/04 14:23登録) 第10回新潮ミステリー大賞最終候補作 山奥の村の旧家において遺産を巡って連続殺人が起きるという横溝正史のオマージュ作品です。それに加えて超絶イケメンの主人公やすぐに包丁をちらつかせるヤンデレヒロインなどキャラが立っていてなかなか読ませます。ただ、小説としての完成度は低くないものの、本格ミステリとしての出来は凡庸。ミステリを読み慣れている人ならこのあたりが怪しいというのはすぐにわかりますし、真相に関しても特に驚くべき点がなかったのが残念です。 |
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