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ミステリの祭典

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透明人間
UBIQUITY/安藤直樹シリーズ

作家 浦賀和宏
出版日2003年10月
平均点7.33点
書評数3人

No.3 7点 じきる
(2021/05/02 00:00登録)
ミステリ的には島荘を彷彿とさせるダイナミックな仕掛けが面白い。
安藤の解釈も、理美の解釈も、どちらも伏線から頷ける部分がある。

No.2 7点 メルカトル
(2021/02/23 22:39登録)
孤独に絶望し、自殺未遂を繰り返していた理美に、10年前に不審死を遂げた父の秘密が明かされる!?自宅地下に隠されていた広大な研究所。遺された実験データの探索中に起こる連続密室殺人。閉じ込められた飯島と理美。亡き父の研究とは?透明人間以外にこの犯行は可能なのか!?名探偵安藤直樹の推理が真相に迫る。
『BOOK』データベースより。

明後日2月25日浦賀和宏の命日を控え、一周忌の供養の代わりに勝手に本作を読ませていただきました。
安藤直樹シリーズ最後の作品。800枚の大作。但しそれに見合った内容とは言えません。それは前半のヒロイン理美の一人語りの部分が大半を占めている為です。死にたいけれど死にきれない、そんな理美の内面を執拗にねちっこく描いています。しかしだからこそそこに浦賀らしさの一端を垣間見ることが出来る訳で、一ファンとしてはああまたやってるよってなります。そしてある種懐かしさすら覚えます。又、冒頭に配された日記と手書きの「わたしの町マップ」が涙を誘います・・・。

一転後半は目まぐるしく物語が動き、どんどん人が死んでいきます。
理美が目の当たりにした、透明人間の仕業としか考えられない父の死と、地下室での惨劇。この双方を安藤直樹が解き明かしますが、一方で理美が考えた推理も全くの絵空事とは思えないので、どちらを選択するかは読者に委ねられます。いずれにしてもシリーズ髄一のダイナミックなトリックを堪能できるのは間違いありません。
唐突に打ち切られた安藤直樹シリーズ、その後に書かれたシーズン2の萩原重化学工業シリーズ。その間に何があったのかは不明のままで、出来る事なら天国の浦賀に訊いてみたいものではあります。

No.1 8点 深夜
(2008/03/24 01:42登録)
外伝的な感じで、シリーズ的には進展なし。失礼ですがこのシリーズ、どの方向に行きたいのかわからなくなってきた。

冒頭の「もしこの物語の主人公と同じ体験をしたらあなたも同じことを考えるだろうか」という言葉が最後に突き刺さります。安藤の話を信じるか、里美の話を信じるか。2種類の解釈ができる。後者なら良い話なんだけど・・・。

多少冗長なのが気にかかったので1点減点。

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