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ミステリの祭典

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ビブリア古書堂の事件手帖IV ~扉子たちと継がれる道~

作家 三上延
出版日2024年03月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 6点 虫暮部
(2024/10/10 12:03登録)
 人情話として楽しめるけれど、謎の真相にびっくりと言う程ではない。しかし篠川家の女性三代は皆、長過ぎる刀を鞘に納められずに困っている。頭のポテンシャルを持て余して、つい余計なことをしちゃうんだなぁ。小市民シリーズを読んでいないのだろうか。
 ところで表紙イラスト。猫は三毛猫では。

No.2 7点 まさむね
(2024/09/23 20:34登録)
 テーマは、戦中に川端康成はじめ鎌倉の文士らが経営した貸本屋「鎌倉文庫」。そこには夏目家から提供された初版本も並んでいたとのこと。
 このシリーズも長くなりましたが、今回は智恵子(昭和)、栞子(平成)、扉子(令和)と篠川家の3代(3時代)にわたる「鎌倉文庫」所蔵本とのかかわりがポイント。前述の史実(らしい)や漱石に係る蘊蓄も含めて楽しめました。色々な家族のつながりを感じさせる点も良かったかな。6.5点の気持ちで、切り上げてこの採点。

No.1 8点 HORNET
(2024/04/15 20:54登録)
 戦中、鎌倉の文士達が立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」。運営メンバーは、久米正雄、川端康成、小林秀雄、里見弴、らそうそうたるメンバー。千冊あったといわれる貸出本も発見されたのはわずか数冊。中には明治の文豪、夏目漱石の初版本も含まれているという。ではその行方は―。篠川智恵子、栞子、扉子と三代に渡って受け継がれる「本の虫」の遺伝子が織りなす古書に纏わる物語。

 今回の題材は、夏目漱石。「鎌倉文庫」の蔵書であったはずの「鶉籠」(世に有名な題でいえば「坊ちゃん」)の初版本の行方を捜すストーリーが、扉子と戸山圭の苦い思い出を紐解く中で描かれていく。
 思えばシリーズスタートからはや13年。当時、「日常の謎」スタイルの安楽椅子探偵ものがいくつか後発して、本シリーズも一流行となっていくのかな…と思っていたけど、適度な間隔でコンスタントにシリーズが続けられていて嬉しい。時流に惑わされずあくまでマイペースに、変わらず上質な物語が呈されるのは素晴らしい。
 失われた「鎌倉文庫」の在庫をめぐる推理、謎解きも、その過程で描かれる文学史談義も、どちらも魅力十分。
 変わらず面白かった。

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