十字架クロスワードの殺人 天才・龍之介がゆく! |
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作家 | 柄刀一 |
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出版日 | 2003年02月 |
平均点 | 4.67点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | nukkam | |
(2025/04/11 02:01登録) (ネタバレなしです) 2003年発表の天地龍之介シリーズの長編第2作の本格派推理小説と思っておりましたが、私の読んだ祥伝社文庫版の巻末解説では「長編第1作」と紹介されています。同文庫版で150ページに満たない「殺意は幽霊館から」(2002年)を長編でなく中編という認識なのかもしれませんが(本書は500ページ近い堂々の長編です)、「シリーズの第三弾」表記は「第四弾」の間違いと思います。相続すべき遺産が消えてしまったのではという疑惑を調べるために龍之介たちが詐欺容疑者に会おうとして殺人事件に巻き込まれるというプロットです。人物関係が複雑なうえに苗字読みと名前読みが入り乱れるので登場人物リストを作りながら読むことを勧めます。推理説明は丁寧ですが前半は龍之介の代理人が説明していているので名探偵の活躍を期待する読者は物足りなさを感じるかもしれません。殺人事件の真相が複雑な上に遺産問題の謎解きも絡むのでちょっと回りくど過ぎるように思います。最後にクロスワードパズル(の誤答?)をロマンス会話(?)に織り込んでいるのは過剰演出だろと突っ込みたいです(笑)。 |
No.2 | 5点 | 三枝 | |
(2024/01/27 12:46登録) ※ネタバレあり※ 2つの視点が同時進行するプロットは嫌いではないですし、それらが絡み合っていくのも期待通りではあったのですが、真相の粗が目に付きます。 特に多くの読者を引きつけるであろう、ガラスを破った腕の左右が逆になっていたことの答えが犯人の凡ミスというのは肩透かしもいいところではないでしょうか。 電話線の切断1つとっても「ポケットから万能ナイフを拝借して」って万能ナイフみたいな分厚い重量物が素人にスリ取れるものでしょうか? 一美のシェルター脱出劇も前日に答えが変わっている状況であの方法がうまくいくのか疑問です。 陽光の事件で顕著ですが、突発的な犯行を意識して犯人の行動を全体お粗末にしている感がありますが、それがミステリーとしてのおもしろさを削いでいる感じです。 ラストでクロスワードを大外れさせながら想いを伝えていくくだりはおしゃれでした。 |
No.1 | 4点 | E-BANKER | |
(2010/05/28 23:38登録) 天地龍之介シリーズ。 氏の作品は、とにかく「読みづらい」という風評を真に受け、いわば「食わず嫌い」という感じでしたが・・・ うーん。やっぱり、なんか合わないですねぇ・・・ 本作品もプロットとしてはなかなか魅力的だと思います。 離れた2つのクローズドサークルで起こる殺人事件・・・当然2つの事件の間には関連性があるのですが、どういう仕掛けになっているのか? 「見せ方」が下手なのかもしれませんし、真犯人にあまりにも意外性がなさすぎるのも致命的です。 「片腕を切断した理由」もイマイチ納得できません。 なんか批判的なことばかり書いてますが、「誉めるところ」がないのも悲しいかな事実です。 |