魔女の原罪 |
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作家 | 五十嵐律人 |
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出版日 | 2023年04月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 7点 | パメル | |
(2025/01/03 19:31登録) 和泉宏哉は、週に三回人工透析を受けている鏡沢高校の二年生。同校は校則のない自由な校風で知られている。校則がない代わりに法律がそのまま校内のルールとして適用され、違法でさえなければ何をしても許される妙な高校だ。夏休み明け早々、一年生の男子生徒がスーパーで母親に万引きを強要されているのを目撃、正義感の強い宏哉は校長に直談判するが、その生徒は自主退学してしまう。そうこうしているうちに、街全体が奇妙であることが分かってくる。そしてさらなる大事件が起きる。 宏哉は人工透析患者だが、父は腎臓専門医、母は臨床工学技士で、なぜか中世の魔女狩りを研究に勤しんでいる同級生の水瀬杏梨とともに自宅で治療を受けている。その水瀬がこのところ治療をさぼりがちだったことや、40年前にニュータウンとして建設された鏡沢町が古くからの住民と新住民との間に対立があることなどが並行して明かされていく。 物語のメインは、一見自由闊達な高校の秘密とその謎解きにあるのでは、と思わせたところで思いも寄らない殺人事件が起きる。ありがちな学園ミステリから家族、学校に地域までひっくるめた大胆にして緻密な謎設定に唸る。後半には意外な弁護士も登場し、リーガル色が強まっていく。そして本書で扱われているテーマがコロナとコロナ後の世界のあり方にもつながっていく。捻じれた発想の不気味さや、それがもたらす恐怖、あるいはその先に待つ惨事を絵空事としてではなく、明日は我が身として体感できる。前向きながらも議論がありそうな結末も味わい深い。 |
No.1 | 4点 | 文生 | |
(2023/12/12 10:08登録) 著者の作品を読むのは『原因において自由な物語』『幻告』に続いて3作目なのですが、どうにも自分には合わないように思います。というのも、登場人物の行動に納得できないことが多いからです。本作でも前半の不穏な空気と学園日常ミステリー風の物語は悪くないのですが、問題は後半に起きる女子高生の全身から血を抜かれた事件の真相。いくらなんでもあの動機はあんまりだろうとすごくもやもやしました。(以下ネタバレ) ※ネタバレ 息子に流れる犯罪者の血を消し去りたくて、他人の血と入れ替えるって、犯人は医療従事者なのだから、犯罪者の血なんてものはあくまでも言葉の綾であって物理的に血を入れ替えてもなんの意味もないくらい(たとえ医療従事者でなくても現代人なら)わかるだろうに |