home

ミステリの祭典

login
頬に哀しみを刻め

作家 S・A・コスビー
出版日2023年02月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2023/11/26 17:52登録)
 殺人罪で服役した黒人のアイク。出所後は真面目に働き、小さな会社を経営していたが、ある日息子が殺害される悲劇が起きた。ゲイである息子は、パートナーとともに顔を撃ち抜かれたのだ。生前、息子の性的志向に向き合えず、冷たく接してしまっていたアイク。身を切るような悔いを抱えたアイクは、パートナーの父親で酒浸りのバディ・リーとともに、息子たちの敵を討つために立ち上がるー。

 「息子たちを殺したのは、その黒幕は誰なのか?」を探すという意味ではミステリの体をもってはいるが、主軸は息子の性的志向を受け入れられないまま、息子を失ってしまった男たちの償いの物語。多分に暴力的で、目を背けたくなるような描写も多々ある。
 武骨で不器用な男たちの、激しく切ない生き様を読む物語として大変魅力的だった。
(しかし、本作のジャンル登録には迷った。確かに主人公たちが敵をことごとく殺していく「犯罪者」ではあるのだが…「クライム小説」というのは、計画的な犯罪の遂行の顛末を、犯人側から描くもののような気がして、ちょっと違和感が。)

1レコード表示中です 書評