国会議事堂の死体 |
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作家 | スタンリー・ハイランド |
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出版日 | 2000年01月 |
平均点 | 6.25点 |
書評数 | 4人 |
No.4 | 5点 | nukkam | |
(2016/09/08 00:18登録) (ネタバレなしです) わずか3作しかミステリーを書かなかった英国のスタンリー・ハイランド(1914-1997)が1958年に発表したデビュー作である本書は単に国会議事堂という作品舞台の珍しさに頼った作品でなく、凝りに凝ったプロットの本格派推理小説です。ジョセフィン・テイの「時の娘」(1951年)のように昔の事件を現代の探偵が解明するというパターンに大きなひねりを加えています。このひねり方はとても鮮やかで本書の白眉といっていいでしょう。とはいえそこに至るまでの前半部の読みにくさは相当なものでしたし、結末のつけ方もすっきりしませんでした。傑作だという評価にあえて反対はしませんが、相当ミステリー通の読者でないとその良さは十分わからないのではと思います。残念ながら私のレベルではお手上げでした。 |
No.3 | 6点 | 蟷螂の斧 | |
(2014/07/12 09:29登録) 裏表紙より~『英国国会議事堂の時計塔、ビッグ・ベンの改修工事中、壁の中からミイラ化した死体が発見された。後頭部を打ち砕かれ、着衣等から100年前のものと推定されたこの死体をめぐって検屍裁判が開かれたが、事件に興味を感じた若手議員ブライは調査委員会を組織し、謎の解明に乗りだした。やがて少しずつ集まりだしたデータから、19世紀の国会議事堂建設をめぐる秘話と、激しい愛憎の物語が次第に明らかにされていく。個性豊かな国会議員の面々が推理の饗宴を繰り広げる「時の娘」風の歴史推理の前半から、後半にいたって物語は思わぬ展開を見せはじめる。読み巧者フランシス・アイルズ(アントニー・バークりー)がただ一言「真の傑作」と評した50年代の知られざる名作』~ 「時の娘」(1951)<英国ベスト1位、米ベスト4位>をかなり意識して書かれた作品であると思います。会話の中でも「時の娘」(リチャード3世が題材)が出てきます。3分の2を占める前半、100年前の事件が冗長であり、読みにくい文章であるので我慢が必要か?(笑)。後半、確固たる推論が反転するさまが本作の最大の見せ所ですね。ラストはある人物の機転による一本勝ちといったところでしょうか。 |
No.2 | 7点 | mini | |
(2014/06/27 09:54登録) * 私的読書テーマ、今年の生誕100周年作家を漁る、第6弾はスタンリー・ハイランドだ 今年の生誕100周年作家には大物が少なく逆にマニアックな作家が多い、密室派短篇のジョセフ・カミングスなどはそんな典型だろうが、長編も書いているがよく”幻の本格派”と呼ばれるタイプが居る ”幻の本格派作家”という言葉には特に定義が有るわけじゃないが、単に埋もれていたというだけの意味じゃないと思う もちろんその手の作家も何人も居るが、それはただ翻訳紹介から漏れていただけであって、そういうのは日本の読者の求めるものや紹介者の思想の偏りが原因である、まぁ過去のタイミングの悪さもあろうか しかし”幻の”という形容が付いた場合、もう1つの埋もれていた原因が存在する、それは”総著作数が少ない”、つまり超寡作だという事だ、2~3作しかないとかね 英国の戦後本格派で長編が2~3作しかない幻扱いされる作家が2人居る、グリン・ダニエルとスタンリー・ハイランドである スタンリー・ハイランド「国会議事堂の死体」は過去に書評済みだが生誕100周年に合わせて一旦削除して再登録 ネット上の各書評では、ラストのサプライズが蛇足という意見も散見するが私はそうは思わない この作品は途中で180度見方が反転するのが持ち味だろうが、ラストのもその一環と考えれば全体の統一感を損ねてはいないと思う 書評的には当サイトでのkanamoriさんの御書評が的確に言い表しているので私の拙文が付け加えるような要素はあまりありません まぁ、いかにも英国的な皮肉の効いた作品という事で |
No.1 | 7点 | kanamori | |
(2010/06/18 20:23登録) 国会議事堂のビック・ベンの壁から発見された古い死体の謎を巡る本格ミステリ。 探偵役の若い国会議員を含めた調査委員会による歴史ミステリ的展開の前半部分は少々リーダビリティに欠けますが、ある事実が判明して、これまで積み重ねた推論が根底から崩れるシーンはなかなか衝撃的です。 後半のロジックの展開と意外な結末は予想以上に満足いくもので、個人的には国書刊行会の叢書ではベスト3に入る作品です。 |