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ミステリの祭典

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ロニョン刑事とネズミ
リュカ、ロニョンほか(メグレシリーズと同じ世界)

作家 ジョルジュ・シムノン
出版日2024年03月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2023/10/06 20:29登録)
(原書 "Monsieur la Souris" を読んでのコメント)
原題のSourisは英語ではMouseに当ります。つまり本来ミッキーみたいなかわいい奴なのですが、この二十日鼠氏、年老いた浮浪者です。シムノンの非メグレものの常からすると、ほぼこの浮浪者の視点から描かれることになると思われそうですが、そうではありません。メグレこそ登場しませんが、「無愛想な刑事と消えたロエム氏」とサブタイトルを付けてもいいような、メグレもののスピンオフ警察小説になっているのです。
瀬名秀明氏の「シムノンを読む」で無愛想な刑事ことロニヨンの初登場作だと知り、気になっていた作品です。ロニヨン以外にも、リュカが警視として、またジャンヴィエ刑事も登場。後半はロニヨンが何者かに頭を殴られ、二十日鼠氏は誘拐されという展開を見せ、クライマックスはほとんど『メグレ罠を張る』あたりにも匹敵する緊迫感があります。謎解き要素もしっかりできた、楽しい作品です。

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