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ミステリの祭典

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空を切り裂いた

作家 飴村行
出版日2022年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 ぷちレコード
(2023/09/11 23:02登録)
一九九九年の七月、千葉県の海沿いの街を舞台に、互いに絡み合う五つの短編が不穏な世界を織り上げる。一時は文壇の寵児としてもてはやされながら、やがて忘れられた小説家・堀永彩雲。それぞれの人生に「歪み」を抱えていた人々が、堀永彩雲の小説に接することによって、何かが開花してしまう。
作者が得意とするグロテスクな描写は抑え気味に、奇異な小説に触れて不穏な行動に駆り立てられる人々の様子を描き出す。起きていることは陰惨なのに、各編の結末は不思議なことに爽快な解放感が漂う。

No.1 5点 メルカトル
(2023/09/04 22:35登録)
徴兵されながらも戦争を生き抜き、
戦後、文壇の寵児としてもてはやされた孤高の作家堀永彩雲。
しかしその後半生は、絶望と狂気に彩られていた。
50で自害した作家の作品は、世間からは忘れ去られたが、
一部熱狂的な読者を生み、育んだ。

世紀末日本を舞台に、
彩雲に魂を奪われた五つの嬰児(みどりご)が、
真の目覚めを迎える!
Amazon内容紹介より。

感想と言っても何をどう書いて良いのか、私にはその手立てが見つかりません。兎に角掴み所がなく、一読しただけでは所々の断片が思い出されるくらいで、全容が見えてきません。だからと言って、令和の『ドグラ・マグラ』と謳って読者を煽る様な事は許されないと思います。この惹句に釣られて思わず読んでしまう読者もいるでしょうし。まあしかし、訳の分からない小説であることは間違いないですね。二度三度と読めば味わいが出て来るのかも知れませんが。

これは堀永彩雲という作家に魅入られて、人生が狂ってしまった者達の物語で、一応連作短編という形を取られています。しかしどれも「それで?」という終わり方をしていて、続きがどうなるのかが判然としない、未完成の体を成しています。結末で辛うじて納得できたのは最後の短編だけですね。
色々起こりますが、ストーリー性はほとんどなく、その起こった出来事を漫然と描いている印象を受けます。又散文的でもあります。ただこの作者得意のグロ要素は少なめながら健在で、そこだけは特徴が出ているなと思いました。

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