8つの完璧な殺人 |
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作家 | ピーター・スワンソン |
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出版日 | 2023年08月 |
平均点 | 5.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 5点 | E-BANKER | |
(2025/09/15 13:29登録) 作者の初読みである。ほかの方もそうかもしれないが、タイトルに惹かれてつい手に取ってしまった作品。 作者六作目の長編に当たる作品(当たってますか?) 2020年の発表。 ~ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは10年前、犯罪小説史上もっとも利口で、もっとも巧妙で、もっとも成功確実な“完璧な殺人”が登場する8作を選んで、店のブログにリストを掲載した。『赤い館の秘密』、『ABC殺人事件』、『見知らぬ乗客』……。捜査官によると、それら8つの作品の手口に似た殺人事件が続いているという。犯人は彼のリストに従っているのか? ミステリーへの愛がふんだんに込められた、謎と企みに満ちた傑作!~ 「赤い館の秘密」「ABC殺人事件」「殺意」「見知らぬ乗客」「アクロイド殺し」の5つは読了している。 「殺人保険」「死の罠」「シークレット・ヒストリー」の3つは未読。以上終了! ・・・って、そんな訳にはいかないか・・・ 個人的に期待していた方向ではなかったなと。まあ、それは大方予想していたことではあったのだが。 いま現在の海外本格ミステリというのは、こういう作風、こういうプロットがメインなのだろうか? ホロヴィッツなんかを読んでいると、それなりにフーダニットの興趣も大事にしているんだなあーという感想を持つのだけど、本作の場合はちょっとねぇ。 確かに、最終盤に判明する真犯人については、正直ビックリした。なんていうか、斜め45度からヤラレタというような感覚。 ただ、これは相当に唐突だし、ロジックも何もなく、無理矢理。ご都合主義と評されてもやむなし、である。 本作がロジック云々に重きを置いてないのは明らかだし、これは主人公の一人称で書かれているところに「欺瞞」が仕掛けられているタイプか?と推察したものの、最後まではっきりした表現。明確な回答は出ないまま終了。 読者としては、もやもやしたまま。消化不良、煮え切らないという結論になる。 で、結局のところ、作者のひとり遊びに付き合わされた感が強くなる。それにしては分量もそこそこ多いしな。 まあ本作だけで作者を評価するのもどうかと思うので、機会があれば他の作品も読んでみようかな・・・ あっ! あと↑上記作品のネタバレにはご注意ください。 |
No.2 | 6点 | 文生 | |
(2023/11/05 09:24登録) 作者のミステリ愛溢れる1本で、読む側としても『ABC殺人事件』や『赤い館の秘密』などの名前が出てくるだけでワクワクしてきます。主人公が過去にブログで紹介したミステリー小説を摸した殺人が次々に起きるというプロットも申し分なしです。ただ、主人公が妙に冷静なのでサスペンスがいまひとつ盛り上がらないという難点があります。真相もそれなりにまとまってはいるものの、はっきりいってパンチ不足です。HORNETさんの指摘にもあったように、ピーター・スワンソの趣味的な側面が強い作品だといえます。 ちなみに、作中で名前が挙がっているミステリー作品は全力でネタバレがされているので未読の人は要注意です。 |
No.1 | 5点 | HORNET | |
(2023/09/30 20:45登録) ミステリー専門書店の店主マルコムのもとに、FBI捜査官が訪れる。マルコムは以前、“完璧な殺人”が登場する犯罪小説8作を選んで、ブログにリストを掲載していた。ミルン『赤い館の秘密』、クリスティ『ABC殺人事件』、ハイスミス『見知らぬ乗客』…。捜査官は、それら8つの作品の手口に似た殺人事件が続いているというが…。ミステリーを心から愛する著者が贈る傑作! (「BOOK」データベースより) 海外古典の有名作品のネタバレ満載のようなので、未読かつ読む予定の方は要注意。作者の魅力はサスペンス的な臨場感ある展開だと思っているのだが、本作はその点では期待とは違ったかも。さらに登場人物の関係性が少し複雑で、何度か巻頭の登場人物リストを確かめながら読む感じだった。 前半の終わりくらいから、主人公の内実が明かされることによって物語の展開が変わってくるのだが、そこから興趣がぐっと増した。ただラストの真相開示はそれほどの衝撃はなく、どちらかというと作者のミステリ愛を充溢させることに主がある作品という感じがした。 |