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ミステリの祭典

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人形島の殺人
呪殺島秘録シリーズ

作家 萩原麻里
出版日2023年01月
平均点6.00点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2025/10/06 15:05登録)
(ネタバレなしです) 2023年発表の呪殺島秘録シリーズ第3作の伝奇本格派推理小説です。主人公コンビの三嶋古陶里が謎めいた手紙を残して失踪し、語り手の秋津真白が彼女が向かったであろう呪殺島の壱六八(いろは)島へと乗り込むというプロットで、過去2作では第三者的な立場だったのに対して本書ではかなり事件の中心にいます。シリーズの設定として両者は児童養護施設で育った幼馴染で、自分の出自については明らかにされていませんでしたが本書ではそこに脚光を当ててシリーズの締め括りを意識したようなところがあります。人並由真さんのご講評で指摘されているように、エキセントリックな島の有力者一族を配置しているところは現代版横溝正史といった感もあります。推理による謎解きもありますが自白に頼ったところも多いところは本格派としては弱く、解決も強引です。前作の「巫女島の殺人」(2021年)はホラー要素が強く感じられましたが、本書はサイコスリラーの要素が強いように思います。

No.2 7点 虫暮部
(2024/09/26 12:19登録)
 もしやシリーズ開始時から仕組んでたか。オカルト度が前巻より更にエスカレートして人形呪術がリアライズしているのを期待したけど、それは叶わず残念。

 変な質問があった。
 「本当にずっと座敷にいたんですか? 一度も目覚めずに? それを証明する人は」
 一度も目覚めなかった本人が証明者の存在を認識することは出来ない。ネタ?

No.1 6点 人並由真
(2023/08/02 07:18登録)
(ネタバレなし)
 幼馴染で同じ大学の学友、そして「呪殺島」がらみの二つの殺人事件にともに関わった女子・三嶋古陶里(みしまことり)が、妙な書置きを残して姿を消した。僕は、彼女の行先である「壱六八島(いろはじま)」もまた、あの呪殺島の一つなのだと知る。島に乗り込んだ僕は、いきなり不可解な殺人事件に遭遇した。

「呪殺島秘録シリーズ」第三弾。
 単品でここから読んでもいいけれど、シリーズ先行作品のうっすらネタバレっぽい点もないではないので、どうせなら第一作から順々に読むことをオススメする。

 シンプルな大技ひとつ(しかもわかりやすい)に寄りすぎた前作『巫女島』に比べ、登場人物を増やして見せ場を多くした印象。さらにメインヒロインの古陶里と主人公の関係性にも、今回ここで、ひとくぎりがつく。
 謎解きフーダニットとしては、正直、ごちゃごちゃしている割に、意外性にはしっかりこだわった作り。その分、いくつかのサプライズがいささか唐突に思えた。
 一方で、連続殺人でメインキャラの頭数が減っていくこともあって、犯人の意外性などは、あまりない。

 力作だとは思うけれど、一方で<そういうもの>風に仕立てた<横溝っぽい作品>度の度合いは、今回もかなり強かった。
 シリーズは今後も続くだろう(それ自体は希望だ)が、前述の通り、主人公コンビにも今回で何かと一区切りがついたので、第四作目からは何らかの新しい風を入れてくれることを期待。

 最後に、本シリーズの大枠、昭和B級スリラー風パズラーの雰囲気は、決してキライではない。

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