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ミステリの祭典

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さえづちの眼
比嘉姉妹シリーズ(番外編含む)

作家 澤村伊智
出版日2023年03月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 HORNET
(2024/04/30 22:14登録)
 個人的なことだが、ずいぶん久しぶりの比嘉姉妹シリーズ。中編3本がまとめられているが、1話目が真琴、2話目は辻村ゆかり&湯水、3話目は最強霊媒師の姉・琴子の話。ということでスピンオフ的な要素も感じられ、シリーズ愛読者には好評なのでは。

 3話それぞれに意外な結末へと展開する仕掛けがあり、小粒ながら良作ぞろいの作品集であった。中でもやっぱり表題作が印象に残ったかな。
 このあとにまた最新作が出ているらしいし、久しぶりに読者復帰をしようと思える一作だった。

No.1 7点 人並由真
(2023/05/05 16:06登録)
(ネタバレなし)
 比嘉姉妹シリーズ中編集と銘打って、シリーズ世界内設定の3本の(広義の?)連作を収録。

①問題児を預かって後見する市井の篤志家の住居、その周辺に怪異が……? の『母と』
②地方の旅館を老母と経営する中年男性。その彼が過去に遭遇した、そして今も引きずる怪異とは? の『あの日の光は今も』
③1960年代から語られる、都内の辺鄙な町での、あるお屋敷の……の表題作(眼には「まなこ」とルビ)。

 どれも新本格ティストのモダンJホラーで面白かったが、①は、ああ、その手か、②は、うむ、ソウクルカ、③は古典の海外怪談風の前半から……と、大枠は違えないものの、それぞれの作品の顔を見せている。

 なお②は、厳密には、比嘉姉妹は登場せず(これは書いてもいいだろう)、シリーズに慣れ親しんだ愛読者なら旧知の同じ世界観のキャラクターが登場、活躍する。なんか『汽車を見送る男』や『ドナデュの遺書』をメグレシリーズ、『大暗室』や『月と手袋』を明智小五郎シリーズとダイレクトに称して売るような感じだ。厳密には「シリーズ番外編」だよね? まあいいけど。

 現在の作者には、比嘉姉妹(とその仲間? たち)のシリーズなら、怪異(謎)の提示と、その解決、決着までの推移を語る上で、中編という形式がいちばん合ってるかもしれない?

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