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ミステリの祭典

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60%

作家 柴田祐紀
出版日2023年02月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 ぷちレコード
(2025/05/17 21:40登録)
舞台は杜の都・仙台で、まずは粕谷一郎を始めとする暴力団・山戸会系田臥組の面々の紹介から始まるが、主役は若頭の柴崎純也。柴崎は、経済・金融に通じており、県警暴力団対策課の高峰岳を通じて後藤真一をスカウトし、マネーロンダリング専用の投資コンサルタンティング会社を立ち上げようとしていた。その社名が「あなたの資産を60%増へ」を謳った「60%」という次第。
扱うのは麻薬マネーで、柴崎たちは中国マフィアと組むことになるがやがて破局が。犯罪小説にはよくあるパターンで、闇の哲学で誘う柴崎のキャラにしてもとりわけ斬新というわけでもない。やり過ぎ感はあるが、終盤の捻りには唸らされた。

No.2 5点 よん
(2024/01/18 13:18登録)
派手で華麗なカリスマヤクザ・柴崎を周囲の人物の視点から描く。
マネーロンダリングに関する光と闇が鮮烈に打ち出されるが、柴咲は薔薇の花が舞う中で荒事をこなすなどして、言動にケレン味が増えていく。彼を見る周囲の目も偶像崇拝めいてきて、最後は真実とともに夢幻のかなたに消えていく。
ピカレスクロマンにおいて、リアリティレベルがこのように設定されるのは面白い。金の力、裏社会の反社会的力学を、半ば幻想的に描いている。

No.1 6点 文生
(2023/03/03 03:27登録)
第26回日本ミステリー文学大賞新人賞受賞作。
暴対法対策で堅気の恰好をしているやくざが絡んできた街の不良少年たちをボコボコにするシーンで一気に引き込まれました。世界中の映画を収集している若頭の柴原や職も家族も失って闇社会に居場所を見出す元銀行員の後藤といった登場人物も魅力的で少なくとも前半はノワールとしてかなりの面白さです。ただ、柴原が敵対するやくざたちを単身で瞬殺するあたりからリアリティがあまり感じられなくなります。それに、チャラすぎる組長のキャラにも違和感が。決してつまらなくはないのですが、本格的なノワール小説を期待していた身としては一部の描写や設定が漫画的で少々軽すぎる気がしました。

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