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ミステリの祭典

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地羊鬼の孤独

作家 大島清昭
出版日2022年11月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 人並由真
(2023/02/15 11:10登録)
(ネタバレなし)
 栃木県の市内で、棺に入った全裸の遺体が続々と発見される。しかも内蔵など死体の部位はそれぞれ模型に変えられている、猟奇殺人だった。現場の痕跡から事件に関係するらしい、中国の妖怪の名前「地羊鬼」というキーワードが浮上する。所轄の若手刑事、八木沢哲也は、オカルトがらみの犯罪の名捜査官と噂される? 女性刑事、林原理奈とともに、オカルト研究家の船井仲丸を訪ねるが。やがて現在形の事件は、過去に生じた複数の密室殺人? 事件に繋がっていく?

 いやまあ、どっかで見たようなネタのパッチワークではあるが、それはそれとして、なかなか面白かった。21世紀の新本格なら、こーゆー趣向盛りだくさん、ケレン味十分なものこそを、読ませてもらいたい。
(まあ、ラストの展開だけは、いささか×××すぎるんじゃないの、で、あったが。)

 令和の一級のB級パズラーという、我ながらヘンなレトリック(汗)で、ホメておきます。

No.1 6点 文生
(2023/01/29 08:50登録)
中国に伝わる怪異を忠実に再現した残忍な連続見立て殺人に始まり、被害者同士の繋がりを探っていくミッシングリンク、密室黄金時代シリーズを彷彿とさせる密室殺人乱れうち、京極堂的な妖怪専門家、飄々とした女性警部補と頼りない若手刑事のバディもの、ミステリーの範疇におさまらないホラー要素、意外な犯人などといった具合に多彩な要素で楽しませてくれる作品です。しかし、その反面、面白さが分散し、ウリとなるインパクトには欠ける印象。また、動機がそれなら、もっと犯人の人格やら犯行に至るまでの背景を掘り下げてほしかったところ。本作の描写だけではなぜ犯人がそこまでの犯行に及んだのかが理解しづらく、もやもやします。

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