home

ミステリの祭典

login
地羊鬼の孤独

作家 大島清昭
出版日2022年11月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 zuso
(2024/10/09 22:05登録)
抜き取られた内臓の代わりに木造の模型が埋め込まれた死体が連続して発見される。中国の呪術「地羊鬼」に因んでいるらしいことから妖怪研究家に協力を仰がれるが、過去の連続殺人や不審死事件との関連も浮上。さらには捜査を担当する警察署自体にも奇怪な暗雲が垂れ込め始めていた。
人為の論理で解決する不可能犯罪は前提で、本筋は呪術による犯罪。特に二段構えの動機の特異さは、ホラーミステリであればこその鮮やかな邪悪ぶりだ。

No.2 7点 人並由真
(2023/02/15 11:10登録)
(ネタバレなし)
 栃木県の市内で、棺に入った全裸の遺体が続々と発見される。しかも内蔵など死体の部位はそれぞれ模型に変えられている、猟奇殺人だった。現場の痕跡から事件に関係するらしい、中国の妖怪の名前「地羊鬼」というキーワードが浮上する。所轄の若手刑事、八木沢哲也は、オカルトがらみの犯罪の名捜査官と噂される? 女性刑事、林原理奈とともに、オカルト研究家の船井仲丸を訪ねるが。やがて現在形の事件は、過去に生じた複数の密室殺人? 事件に繋がっていく?

 いやまあ、どっかで見たようなネタのパッチワークではあるが、それはそれとして、なかなか面白かった。21世紀の新本格なら、こーゆー趣向盛りだくさん、ケレン味十分なものこそを、読ませてもらいたい。
(まあ、ラストの展開だけは、いささか×××すぎるんじゃないの、で、あったが。)

 令和の一級のB級パズラーという、我ながらヘンなレトリック(汗)で、ホメておきます。

No.1 6点 文生
(2023/01/29 08:50登録)
中国に伝わる怪異を忠実に再現した残忍な連続見立て殺人に始まり、被害者同士の繋がりを探っていくミッシングリンク、密室黄金時代シリーズを彷彿とさせる密室殺人乱れうち、京極堂的な妖怪専門家、飄々とした女性警部補と頼りない若手刑事のバディもの、ミステリーの範疇におさまらないホラー要素、意外な犯人などといった具合に多彩な要素で楽しませてくれる作品です。しかし、その反面、面白さが分散し、ウリとなるインパクトには欠ける印象。また、動機がそれなら、もっと犯人の人格やら犯行に至るまでの背景を掘り下げてほしかったところ。本作の描写だけではなぜ犯人がそこまでの犯行に及んだのかが理解しづらく、もやもやします。

3レコード表示中です 書評