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ミステリの祭典

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真珠湾の冬

作家 ジェイムズ・ケストレル
出版日2022年12月
平均点8.33点
書評数3人

No.3 9点 びーじぇー
(2025/02/14 20:31登録)
ホノルル署の刑事・マグレディは上司の呼び出しを受け、事件現場に向かう。酪農家が所有する山中にある納屋で彼が見たのは、豚の解体処理に使うフックで逆さ吊りにされ、腹部を切り裂かれた若い男の死体だった。その後、納屋を燃やそうとした男と遭遇、銃を向けられたマグレディは、やむなく男を射殺する。納屋の中には日系と思われる女性の刺殺死体も残されていた。
刑事のキャリアは浅いマグレディだが、手堅い捜査で手掛かりを掴んでいくのが警察小説としての第一部。捕虜となり香港から東京へと移送される彼の転変が中心となる第二部は、恋愛の要素も加味されたロマンス小説の趣が濃い。そして日本の敗戦の後も、ただ一人再び事件と対峙するマグレディの執念を描く第三部へと続いていく。ハワイ、香港、東京。三つの国で十二月を五度過ごしたマグレディが、新たに根を下ろす地は。彼が行き着くところまで、共に歩み進めたくなる歴史ミステリ大作。

No.2 9点 人並由真
(2023/01/18 10:19登録)
(ネタバレなし)
 最強のリーダビリティで語られた、20世紀前半を時代設定にした最高のロマン。
 脳が痺れるくらい、面白かった、良かった、泣けた。

 7~8年前にキングの『11/22/63』を数日掛けて読み終えた時の達成感と充足感を、わずか4時間で得られようとは。
(……と書いてたら、実際にそのキング当人が絶賛してるのな。まあ、頗る納得ではある。)

 話のうねり、今どきこんな話やるのかよ! と(いい意味で)何回か叫びたくなった、あえて王道のドラマを綴る送り手の胆力、そして主人公の魅力に加えて、サブキャラクターたちの運用の鮮やかさ。
 読んでる最中、一回か二回は、このサイトに参加してついに二冊目の、10点をつけたい作品に出合えたか! と思ったほどである。

 現状で、昨年2022年の海外ミステリの、ダントツ・マイベストワン。

No.1 7点 文生
(2023/01/16 03:31登録)
2022年アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞(エドガー賞)受賞作品。
日米開戦前夜のハワイで白人男性と日本人女性の惨殺事件に遭遇した元軍人のホノルル署刑事が、犯人を追って香港に赴くも敵の罠に落ちて囚われの身となり、さらに進軍してきた日本軍によって東京へ送られるという国際色豊かなスリラー作品です。欧米作品にありがちなトンデモ日本人などの要素は微塵もなく、極めて正確に日本が描かれている点には好感を覚えますし、時代に翻弄される主人公のドラマとしても読み応えがあります。ミステリーとしては殺人事件がなぜ起きたのかという背景の解明に重きが置かれていますが、それよりもむしろ主人公と日本人女性とのラブロマンスが本作の魅力の大きな部分を占めています。特に、事件解決後のラストシーンが感動的。

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