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ミステリの祭典

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ループ・オブ・ザ・コード

作家 荻堂顕
出版日2022年08月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 麝香福郎
(2024/08/16 21:32登録)
WEO(世界生存機関)の職員・アルフォンソは、多数の児童が原因不明の発作を伴う病気を発症した国に調査のために派遣される。そこは、20年前に起きた虐殺事件の結果、WEOプログラムによって歴史の一切が抹消され、人々の名前までもが変更され、かつての民族のアイデンティティが消去された国だった。
歴史を抹消された社会の調査を通じて、無個性だが秩序のある社会が抱えた歪みが浮かび上がる。
未来の国を舞台にしているが、ここに描かれているのは絵空事とはいえない。起こりうる未来、あるいは今の現実の変奏といってもいい。謀略小説という枠組みを駆使して、大きなテーマを扱って見せた作品である。

No.1 7点 虫暮部
(2023/01/06 11:24登録)
 設定と展開は興味深いのだけれど、末尾4分の1が消化試合になってしまった感がある。勿論、判っている終幕へ上手に着地させるのも作家の腕であり、その意味で良く出来てはいるが、ラストにもう一つドカーンと驚きが欲しかったなぁ。原因が判明してもそれで事態が収束するわけではない、と言うのは示唆的。

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