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ミステリの祭典

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蜘蛛の微笑

作家 ティエリー・ジョンケ
出版日2004年06月
平均点7.00点
書評数3人

No.3 7点 蟷螂の斧
(2023/07/15 22:13登録)
折原一氏の作品を多く読んでいるためか、二人称(太字のゴシック体)の文章が出てきたところで、大まかな筋がわかってしまいました(苦笑)。文章は読み易いし、ラストの疑心暗鬼になる心理描写も優れていると思います。なお、「訳者あとがき」にある「究極のラブストーリー」には疑問符を付けざるを得ないでしょう。

No.2 7点 YMY
(2023/07/11 22:22登録)
愛人に客を取らせ、そらの行為を覗き見ることによって快楽をむさぼる美容整形外科医。非番の警察官を殺し、農家に立てこもる銀行強盗。深夜オートバイを走らせているところを拉致され、何者かに拷問を受ける青年。
物語は、交互に語られていくこれらの三つのストーリーがやがて交錯し、予想だにしない衝撃的な結末へとなだれ込んでいく。
暗く湿った空気の中にたれこめるノワール色と、そしてそれを切り裂くように待ち受けるサプライズエンディング。古き良きフレンチ・ミステリの典型のような作品。

No.1 7点 メルカトル
(2023/01/05 22:45登録)
外科医のリシャールは、愛人を眺める。他の男に鞭うたれ、激しく犯される姿を。日々リシャールは変態的な行為を愛人に強要し…無骨な銀行強盗は、警官を殺害してしまった。たりない脳味噌を稼働させる中、テレビ番組を観て完全なる逃亡手段を思いつくが…微笑みながら“蜘蛛”は、“獲物”を暗闇に閉じ込めた。自らの排泄物、飢え、恐怖にまみれた“獲物”を“蜘蛛”は切り刻んでゆく…三つの謎が絡む淫靡なミステリ。
『BOOK』データベースより。

上記の様に物語は、整形外科医のリシャールと愛人エヴの爛れた愛の物語、警官を殺害し身柄を隠すためある計画を練るアレックスの章、そして二人称の「おまえ」が“蜘蛛”によって監禁され辱めを受ける章の三つのストーリーが並行して進行します。短いながら改行が極めて少なく、内容がぎっしり詰まっているので、一体自分は何を読まされているのか、何が進んでいるのかがなかなか掴み切れませんでした。その上会話文が極端に少ない為、容易に全容を把握する事を許しません。よって、二人称の部分だけが妙に惹きつける魅力を有してしまって、全体的にアンバランスな印象を受けました。

しかし、ラスト30頁でやってくれました。衝撃の展開、禁断のトリック、これは!・・・。本書はそれだけで評点を一気に押し上げました。驚愕の事実が目の前で繰り広げられるカタルシスはなかなかのものでしたよ。いやー最後まで読んで良かったですー。



【ネタバレ】



キーワードは「お大事ちゃん」by頓知気さきな。

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