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ミステリの祭典

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綺譚集

作家 津原泰水
出版日2004年08月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 6点 ʖˋ ၊၂ ਡ
(2026/02/09 11:45登録)
少女の骸を解体する男たちを描く「天体解体」、夏の夕暮れに殺された女性が語り手となる「玄い森の底から」、ベース弾きの主人公が知人女性の右脚の骨を善福寺で発見する「脛骨」、黄昏時の歯科医に流れるエロティックな瞬間を凝視した「黄金抜糸」、ゴッホの名画の庭園を再現しようとする老作家と、その計画に携わる室内装飾家の錯綜した関係を綴る「ドービニィの庭で」など、磨き抜かれた言葉と文体と、禍々しくも美しいイメージに圧倒される。死臭と鮮血に満ち溢れたグロテスクとアラベスクの15編からなる短編集。

No.2 6点 SU
(2025/11/01 20:20登録)
神経を患う「私」が遭遇する、少女の交通事故死の顛末を記した「天使解体」、学校の怪談風の「夜のジャミラ」、殺された女の死後の意識と記憶を辿った「玄い森の底から」、公園で兎を飼っている老人たちと、彼らに愛犬を殺された青年の戦いを描いた「聖戦の記録」など15編が収録されている。
文体に対する美意識の高さ、物語が求める「声」を聞き分ける感度の良い耳、夜の静寂の中から幻想を拾い上げる繊細な感覚、口の端から漏れる笑いが似合う歪んだユーモラス。どの作品をとっても作者らしさが出ており、作者の魅力を知るに最適な一冊。

No.1 5点 虫暮部
(2022/10/26 11:44登録)
 “忌憚” には文字通り “いみ、はばかる” の意味がある。タイトルは「忌憚集」と言う洒落? と思った程で、ぶっちゃけ平山夢明みたいなグロテスクなホラー短編集。但し、あの人が奇怪な妄想を煮詰めて爆発させるアイデア先行型である(っぽい)のに対し、こちらは文体の魔術師、外殻である言葉サイドからアプローチしてイメージを囲い込み切り取る作風である(っぽい)。
 そして本書では、その言葉使いとしての才が勝ち過ぎて、内実とのバランスが崩れがちだ(それが全てマイナスだとは言わないが)。オチで上手くまとめない作風が短編だと一際目立つ。白眉は「夜のジャミラ」。

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