ビブリア古書堂の事件手帖III ~扉子と虚ろな夢~ ビブリア古書堂の事件手帖・扉子シリーズⅢ |
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作家 | 三上延 |
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出版日 | 2022年03月 |
平均点 | 6.33点 |
書評数 | 3人 |
No.3 | 6点 | 虫暮部 | |
(2022/09/27 12:46登録) “本を読むことで同じような人になる” と言うのは、アナログ手法による人格転移みたいで面白い。扉子が母親に似る一方で大輔は不動の安定感だから、辻褄も合う。でももっと伝奇SF的な世界観のアイデアだよなぁ。 ディスコミュニケーションが招く不可解な状況。少々回りくどい。札を本に挿んだ気持は作中でも有耶無耶にしているし、変な展開だと思った。事件より古書談義が楽しい。 |
No.2 | 6点 | まさむね | |
(2022/09/20 23:36登録) 扉子シリーズも3作目。「扉子と虚ろな夢」との副タイトルも付されているのだけれども、メインは扉子の後輩に当たる「樋口恭一郎」か。いや、扉子の母・栞子なのか。否、祖母の智恵子が正解かもしれない。 その点は別としても、まぁ綺麗に纏めていますね。その纏め具合(綺麗さ加減)の好き嫌いはありそうだけれども。次作への繋ぎ(と思われる)も織り込んでいたので、シリーズ読者としては、次作も期待したいと思います。 |
No.1 | 7点 | HORNET | |
(2022/07/30 23:15登録) 離婚した前夫の死により息子に相続されるはずの約千冊の蔵書を、古書店主である前夫の父親が古本市で売ろうとしている。それを阻止してもらえないか―。篠川栞子のもとに舞い込んだ新たな依頼。だが、その「古書店主」は、栞子も世話になっている、信頼できる同業者だった。何か事情があるのでは―ビブリア古書堂も出店する3日間の古本市でそれを探る役割は、夫の大輔と娘・扉子に託された――。 シリーズ開始から10年。年1冊という緩い刊行ペースだが、その分一作一作が丁寧に作りこまれている好印象。今回は「ドグラ・マグラ」が題材となるなど、ミステリ愛好家にとっても興趣をそそる内容。 古書を題材とした「日常の謎」で、これだけ仕掛けを考え続けられ、しかもその質が落ちないのはスゴイと素直に思う。大きく三つの事件が描かれた一冊だが、「父親と祖父の思惑は?」という謎が持続的に貫かれており、その仕組み方も非常に技巧を感じる。10作目にしても色あせない、好シリーズである。 今回、事件に絡んで樋口恭一郎という高校生が登場するが、これが今後扉子の相手役になっていくのか?大輔&栞子のパターンの焼き増し感は多少あるが… |