プロジェクト・ヘイル・メアリー |
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作家 | アンディ・ウィアー |
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出版日 | 2021年12月 |
平均点 | 8.00点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 8点 | みりん | |
(2024/10/07 22:26登録) 『星を継ぐもの』と並んでハードSFの暫定ツートップ。なぜそう言い切れるのか?それは私がこの2作しかSFを読んだことがないからである(^^) こんなに面白いジャンルであるならばもっと読もうかなSF。 ネタ改題案『星を断つもの-アストロファージ-』 (上)巻が特に面白い。記憶喪失の男が、徐々に記憶を取り戻しながら、ヘイルメアリー号の目的を思い出していく。己の知と技術を頼りに未知の生物の謎を解析していくプロセスが実にアカデミック。自分自身が普段研究で用いる解析理論や実験の手法が登場したりしてとても楽しい。星が違えど物理法則は宇宙共通。自然科学がいかに普遍性のある学問であるかを思い知らされる。問題が発生し、科学的な思考を重ねて解決に導くというサイクルが宇宙船という閉鎖空間の中でずっと繰り返されているだけなので、読む人によっては単調に感じるかもしれない。 【ややネタバレ】 博学で利発で勇敢でたくましく思えた主人公がその実、死を恐れる等身大の人間であったことが本作の最大のサプライズ。幾度も発生する謎の現象が科学的に解明される知的興奮。協力して困難に立ち向かうバディものとしての面白さ。この二つが絶妙なバランスでブレンドされた素晴らしい作品だと思います。 |
No.1 | 8点 | 糸色女少 | |
(2022/07/13 22:21登録) 道の生物の影響で太陽に異変が生じたために、急激に氷河期に突入しそうな近未来の地球。人類存続の危機に際して全世界規模での対策が始動するが、宇宙船ヘイル・メアリー号で宇宙へ送り出され、唯一生き残ったのは半ば記憶喪失状態にある一人の男だった。 どう考えても悲惨な状況だが、主人公は前向きなチャレンジ精神とユーモアを失わず、次々と起こる難問を前に、冷静な計算と科学的思考によって解決し、さらなる難問へと立ち向かっていく。 次第に記憶を取り戻しながら、恒星間飛行を続ける主人公は、やがて異星人と最初の接触を果たすことになる。苦労しながら意思の疎通を図るうちに、次第に両者の間には友情のようなものが芽生えていく。一方地球でのプロジェクトは、権力を集中させて強権的に推し進められていくが、指導者はその責任も十分に自覚している様子だ。物語の最後には目頭が熱くなる感動が待っている。 |