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ミステリの祭典

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名探偵は誰だ

作家 芦辺拓
出版日2022年04月
平均点5.00点
書評数3人

No.3 5点 まさむね
(2022/11/15 22:10登録)
 「変則フーダニットの見本市」という触れ込みに惹かれたのですが…。うーむ。確かに狙いは分かるし、短編ごとの工夫も伝わってくるのだけれども、短編集全体の面白みに繋がっているのかというと、そうでもない気がします。虫暮部さんと同様、私も一話目の「犯人でないのは誰だ」が、フーダニットとして最もシンプルかつロジカルで最もフィットしましたね。

No.2 5点 虫暮部
(2022/08/02 11:51登録)
 作者曰く “これまで書かれなかった存在をフーダニットの対象とした” 作品群で、各々なかなか意外な真相が用意されている。が、それ故に、あまり面白くない。
 もともと捻った設問であるところを更に捻っても効かないのだ。唯一素直に “手掛かりを基に四人の中から一人を選ぶ” 展開の「犯人でないのは誰だ」が一番面白い。

 作者の掲げた “変則的フーダニット” の看板は却って邪魔なのでは。各タイトルを変えて、短篇集としてのテーマなど考慮せず、一編一編バラバラに読んだ方が楽しめるのではないだろうか? 戦略ミスだと思う。

No.1 5点 人並由真
(2022/06/26 04:13登録)
(ネタバレなし)
 フツーの犯人捜しではない? 探偵やら怪盗やら参事のあとの生存者やら……をそれぞれ捜す、7編のフーダニットパズラー……のハズなのだが、必ずしもその通りにはなってない。

 季刊誌「ジャーロ」に毎号連載された連作短編を一冊にまとめた内容だが、途中で作者がネタ切れ、または飽きてきた感じがする。
 第4話なんかは、この趣向を楽しめというより、(中略)の某人気エピソードのイタダキみたいだ。

 全体的に思ったよりイマイチだったが、本書のメイキング事情を語るあとがきで作者が述懐していた<既存の短編を作者以外の筆で紹介されたら、まるで印象が変わり、のちのちまできっとこういう内容なのだろうとイメージが膨らんでいた作品は、実はどこにもないのだと、やがてわかった>という経験~それが今回の作品の執筆の原動になった~は、かなり普遍性がある話。評者なんかも身につまされるようで、作者のこの感慨は面白かった。

 なおノンシリーズの連作集で、基本は毎回の登場人物も設定も変わる作品だが、最後の方に何か作者のファンにはわかるお遊びがあるらしい? そこまで年季の入った芦辺ファンでない評者には、イマイチわからなかった。たぶん本物のファンならわかるのであろう。
 
 トータルとしての評点は、今回はこんなところで。 

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