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ミステリの祭典

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殺意は砂糖の右側に
天才・龍之介がゆく!シリーズ

作家 柄刀一
出版日2001年02月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 nukkam
(2017/04/15 02:39登録)
(ネタバレなしです) 長らく離島で祖父と2人暮らし、その祖父が死去して後見人探しに上京してきた生活力や社会常識については疑問符のつく天才、天地龍之介シリーズの2001年発表のデビュー作が本書です(本書では28歳)。全7章で構成されていますが長編ではなく、各章が独立した物語の第1短編集です。この作者らしくトリック重視の本格派推理小説が揃ってますが一般的な読者には予想しにくい専門知識に頼ったトリックが多いのが難点でしょうか。巻末の作者のあとがきで隠し場所トリックの謎解きの「ダイヤモンドは永遠に」は「黄金期の密室ものの大家が著した傑作へのささやかなオマージュ」として書かれたそうですが、なるほどちょっとしたアレンジとしては悪くはないと思います。しかし「あかずの扉は潮風の中に」の密室に侵入して室内を荒らすトリックはアレンジどころか大家の作品トリックをそのままパクっただけにしか感じられませんでした。

No.2 5点 vivi
(2008/05/16 00:37登録)
龍之介の天然ぶりが、なんとものどかな連作短編集。
博学にしてIQ190という探偵役を生かすためか、
理系トリックを中心にした作品集になっています。
非常に論理的に事件を読み解いていく龍之介なのですが、
キャラクターのせいか、作品全体がおっとりしている感じ。
スピード感とか迫力を置き去った作品世界ですね。

という具合なので「ここがこうだ!」という点は無いのですが、
殺伐としがちなミステリにあって、特殊な存在かも。
癒し系(?)龍之介の今後に期待します。

No.1 6点 ギザじゅう
(2004/11/28 16:56登録)
IQ190の天才(というより雑学王)を探偵役にしてあるだけあって、トリックは専門的なものもある。が、それに寄りかからずに、ロジックを大切にしている点は好印象。
考古学ミステリやアリア系とは別の視点から描かれているが、柄刀独自のロマン観がしっかりと息づいている。他の作品と比べると、多少物足りなさも感じたが、このシリーズがどう発展していくの楽しみである。

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