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ミステリの祭典

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探花
隠蔽捜査9

作家 今野敏
出版日2022年01月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 HORNET
(2022/05/04 21:55登録)
 横須賀・ヴェルニー公園で刺殺体が発見された。目撃者によると、刃物を持った白人男性が現場近くにいたのを見たという。米軍がらみの案件か?と神奈川県警が眉を寄せる中、県警警務部長に竜崎の同期のキャリア・八島圭介という男が赴任する。八島は同庁入庁の中でトップの成績、ハンモック・ナンバーが一番の男だという。その八島が、米軍との交渉には竜崎が出向くべき、と主張する。八島の目論見は何なのか?

 本の宣伝文句には、「竜崎のライバル出現か?」と謳われているが、結果としてはライバルになんかなり得ない俗物だった。本作品はむしろ、現場たたき上げでキャリアへの反感を持つ板橋刑事課長と竜崎署長の、表層には表れない信頼関係の方が見もの。信頼を寄せながらもぶっきらぼうな態度を崩さない板橋課長、そんなことは何も気にしない竜崎署長、これが名コンビ。
 事件の裏を暴いていく過程以上に、信念の男・竜崎と、「キャリアは頭でっかち」という先入観を持っている所轄の署員とが次第に距離を縮めていく様が本シリーズの真骨頂だと思う。
 今回もそれを、十分に楽しめた。

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