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ミステリの祭典

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影踏亭の怪談
怪談作家・呻木叫子の事件簿

作家 大島清昭
出版日2021年08月
平均点5.67点
書評数3人

No.3 5点 zuso
(2023/10/27 22:56登録)
怪談作家が現地取材の過程で遭遇する事件を解決する、ホラーにして本格ミステリの連作。
怪異を単なる現象だけでなく、その背景まで徹底的に突き詰めていくところは、ミステリ的に見えて調査型実話系怪談の手法そのもの。謎解きがしばしば、はらむ不自然・強引さをホラーによって巧みに呑み込んでしまうのも極めて怪談的。

No.2 5点 虫暮部
(2022/10/12 12:39登録)
 実話怪談なるジャンルがあるのは知っているが、そう言えば殆ど読んだことが無い。怖い話が駄目ってことではなく、“実話怪談” のスタイルが合わないのか。本書でも各話の中盤があまり乗れなかった。

 表題作。ラストの “死期は迫っていた” との解釈はいらないのでは。見せたくなかった → 事件発生 → 謎を追う → 巻き込まれて死、と言う本末転倒な状況の方がインパクトあると思う。
 「朧トンネルの怪談」。(ギロチンならともかく)首切りにはどのくらい時間が掛かるのだろうか。想像しづらい。作中では、ごく短時間で切れる前提で計画を立てているようで首を捻った。

No.1 7点 まだ中学生(仮)
(2022/03/10 22:31登録)
民俗学がらみの怪奇ミステリ。怪談作家の呻木叫子が遭遇する奇怪な事件が並ぶ。
べたべたとお札の貼られた部屋で発見された両目をえぐられた死体。公民館の一室で発見された泥だらけの死体。いずれの事件も心霊スポットや怪奇現象の噂のある場所で発生している。
呻木叫子もそれらの謎を探るうちに、まぶたを自らの髪の毛で縫い合わされたまま椅子に粘着テープで固定されたり、廃工場で心霊番組のロケ中に落ちてきた冷凍メロンで頭を強打して意識を失ったり、と不可解な事件に巻き込まれていく。
物語は彼女の書いた原稿と、ほかの人々の語り、三人称の描写で進む。どの事件も彼女の論理的な推理で犯人が突き止められていくのだが、最後の方でいくつものエピソードをつなぐ闇の存在が物語をまとめていく。
その試みはうまく成功しており、どの話もなんとなく後味の悪さを残していて、これもまた大きな魅力になっている。

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