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ミステリの祭典

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ブレイクニュース

作家 薬丸岳
出版日2021年06月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 6点 パメル
(2023/12/28 06:50登録)
SNSが武器にも凶器にもなる現代社会の危うさを7つの事件取材から描いた連作短編集。
「ブレイクニュース」週刊誌記者の真柄新次郎は、人気ユーチューバー・野依美鈴の取材をすることになった。彼女のユーチューブ「ブレイクニュース」は視聴回数1000万回を超える。ギリギリともいえる手法で児童虐待の問題に切り込んでいく美鈴に反発を覚える。
「巣立ち」51歳の息子が19年も引きこもり状態になっていることに悩む老夫婦。自分たちを取材してもらって、ブレイクニュースを視聴している息子に見てもらいたいという依頼だった。ラストに差し込むかすかな光が、希望を感じさせる。
「嫌疑不十分」杉浦周平は、女性を暴行したという容疑で逮捕される。嫌疑不十分で不起訴になったものの、仕事はクビになり両親からは絶縁を言い渡され、苦境に陥っていた。冤罪を晴らしたいとブレイクニュースに依頼する。ラストの捻りの鮮やかさに唸らされた。
「最後の一滴」生活苦からやむなくパパ活という選択肢を取った北川詩織。「あなたは闘ったことがある?」と美鈴に問いかかられた詩織が下した決断は。女性であることが不利にならない社会であってほしいという作者の願いが伝わってくる。
「憎悪の種」は、在日外国人への差別意識を「正義の指」では、SNSの誹謗中傷にスポットを当てている。そして最終話「ハッシュタグ」で美鈴をめぐる謎とブレイクニュースを続けてきた目的が明らかになる。
児童虐待、8050問題、冤罪事件、ヘイトスピーチ、パワハラ、医療過誤など、まさに現代日本が抱える問題が浮き彫りになり、それがネットと絡み、ネットの闇もリアルに描かれている。

No.2 7点 take5
(2023/02/05 16:19登録)
無駄にグロテスクでない、
辛い世界を書いていても、
読後感には希望がある
薬丸岳作品が好きです。
全7話がそれぞれ今日的なネット問題や
社会的問題を書いでいます。
一話の中でも反転があり、
最終作品に向かって主人公の
真相と生き直しが進む構成がよい。
自戒の念をこめて、
令和に生きる全ての人が
一度は読んでと
書き記しておきます。

No.1 6点 HORNET
(2021/11/20 15:28登録)
 ユーチューブで人気のチャンネル「野依美鈴のブレイクニュース」。社会的な問題を独自に取材し配信。事件の当事者に直撃する取材は、訴えられてもおかしくない過激なものも。それでも美鈴の美貌も手伝って、視聴回数が1千万回を超えることも少なくない人気チャンネルに。週刊誌記者の真柄は、プロのメディアとしてそんな美鈴に反発を感じながら、美鈴の正体を探ろうとする。すると美鈴には意外な過去が……。
 いかにも旬な、現代的題材なので諸所に共感しながら非常に読み易く進められる。美鈴が追う事件ごとに章立てされた連作短編で、最後に美鈴の正体が明かされる。後半の章での展開から、その正体はうすうす分かって来てドンピシャだったので、ミステリとして大きな驚きがあるわけではないが、最近にありがちな事件像を取り上げて作られた各話は興味深く、楽しんで読むことができた。

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