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ミステリの祭典

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混沌の王
オーウェン・バーンズシリーズ

作家 ポール・アルテ
出版日2021年09月
平均点6.33点
書評数3人

No.3 7点 レッドキング
(2023/06/24 21:34登録)
メインは過去の密室殺人で、サブに現在進行の不可思議な雪上殺人が付く。メインの密室・・Locked Room3/4にして雪密室1/4・・は4/4完全密室(しかも凶器消失付き)にもできたのに、あえて、1/4を「雪足跡不可能」に開け放った所が、Très Merveilleux !(^^)! 
サブの雪原不可能トリック及びオマケ諸事件のバカミス度、もうバカ超えてアホ (;O;)・・・素晴らしい!

No.2 7点 人並由真
(2021/12/07 05:55登録)
(ネタバレなし)
 19世紀末の英国。「わたし」こと、南アフリカから帰国した20台半ばのアキレス・ストックは、多様な分野で才能を発揮する芸術家にしてアマチュア名探偵でもある同世代の男オーウェン・バーンズと友人関係になった。そのバーンズに、怪事件が生じると思われるので対応して欲しいとの相談があったが、当人はアメリカに帰国するガールフレンドの女優ジェイン・ベイカーと最後のデートを楽しむのに忙しい。やむなくアキレスがオーウェンの代理として、ロンドン郊外の村にある老舗の織物商チャールズ・マンフィールドの屋敷に先に向かう。そこでは、およそ2世紀前の故事に由来する怪人「混沌の王」が4年前から毎年、姿を現し、不可解な殺人を行っていた……?

 1994年のフランス作品。オーウェン・バーンズ、シリーズの第一弾。
 帯で大山誠一郎先生が「呪われた一族、屋敷、怪人、交霊会、雪の密室、変人探偵とワトソン役」と、本作に盛られた趣向というかミステリとしてのギミック&ファクターを並べ立てている。個人的にはこれにあと「幽霊殺人」とか「(中略)」とか、いくつか付け加えたい。
 とにかく読んでいる内はゴキゲンな、甘い砂糖菓子のような外連味でいっぱいの怪奇パズラー。

 真相を明かされるとな~んだ、の部分もないではないが、謎解き作品としての手数の多さ、それに屋敷に集う登場人物たちを描き分けた読み物的な興趣もなかなか。伏線の張り方も王道でウレシクなった。
 まあ毎年生じる怪事件の連続に際しては(中略)というモノなので、その辺はアレだが、こういうものを1990年台の半ばにすっとぼけて書いてしまった茶目っ気がステキ。
 作中の時代設定の意味は、「ホームズのライヴァルたちの時代なら、こういうどこかゆるい、しかしとても楽しいミステリがあったよね」ということであろう。最後の最後の謎解きも、その手できたか、ではあるが、実にヨロシイ。 

 評点は0.25点くらいオマケ。
 ツイスト博士の方と合わせて、アルテの未訳はどんどん出して。

No.1 5点 nukkam
(2021/10/24 22:18登録)
(ネタバレなしです) ポール・アルテのシリーズ探偵と言えばまず挙げられるのはジョン・ディクスン・カーのフェル博士の影響が濃い(というかパロディーに近い)アラン・ツイスト博士ですが、それに次ぐ存在が1994年発表の本書がシリーズ第1作となるオーウェン・バーンズです。行舟文化版のイラストは(日本で先行出版された「殺人七不思議」(1997年)、「あやかしの裏通り」(2005年)、「金時計」(2019年)のイラストも)アルテ自身による挿画で、その多才ぶりに改めて驚かされます。本書は鈴の音と共に出現して雪の上に足跡を残さない白面の怪人「混沌の王」による(と思われる)数々の不可能犯罪の謎解きを楽しめる本格派推理小説です。犯人当てとしては不満もありますが、次々に打ち上げられるトリックの花火は圧巻です。21章で説明される、村に通じる路上での老人死亡事件の真相は馬鹿トリックに近いと思いますけど、最後の一行まで謎解きしての締め括りは某英国女性作家の1940年代の名作を(あれも足跡トリックありましたね)思い起こしました。

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